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5ー02
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すると突然頭上から何かに首を掴まれ、地面に体ごと叩きつけられた。
巻き込まれたハルも苦痛に満ちた声を上げ、俺自身も骨が何本か逝ったのか、肋骨の激痛に息が詰まる。
「かっ…は…ッ」
「章人!!」
ザクロの差し迫った声を遠くに、目の前には長い黒髪の女が俺の首を締めながら渇いた笑い声を喉の奥で鳴らした。
コイツ、俺の隙をつく為にカジを…!
「あらあら…犬の応援で何が来るかと思えば、随分美味しそうな坊やだこと。一体どんな味がするのかしら…お姉さんにどこから食べて欲しい?」
色の反転した赤黒い目と歪に煌く八本の脚。
その様は余りにおぞましく、美しさなんてない。
醸し出す妖気も完全に邪気に染まり…落ちる所まで堕ちてしまっている。
「章人を離せ…蜘蛛女」
ザクロの怒りに満ちた声に女朗蜘蛛はケタケタと笑った。
「そう焦らなくても貴方も相手をしてあげるわ、この子を頂いた後でじっくりとね」
「!…お前ッ」
「おっと、それ以上近付いたらこの子の首、へし折れるかもしれないわよ」
「…!」
ザクロが女朗蜘蛛と睨み合い、牽制し合う。
ここは…俺が何とかしないと。
「!…章人?」
俺の掠れた笑い声に驚くザクロと、怪訝に見下ろす女朗蜘蛛が視界に入る。
「…何が可笑しいんだい」
「…アンタには悪いけど、お姉さんってのはキツいよ…」
「何だと!…ッ?!」
油断した隙を付き、女朗蜘蛛の額に呪符を張り、印を結ぶ。
「発火!」
ドンッ
「キャアアァァァァァァーーーッ!!」
女朗蜘蛛の額の呪符が炎をまとい爆発する。
かなぎり声を上げながら両手で顔を覆い仰け反った隙に、ザクロが俺とハルを連れて距離を取った。
「章人、何て無茶な事!」
「…ッ…コレが手っ取り早いだろ…。ハル、大丈夫か?」
「は、はい…何とか」
「良かった…女郎蜘蛛は俺達が引きつけるから、カジを下ろしてやってくれ」
「…分かりました、お気をつけて」
カジの元へ掛けていくハルを見据えると、禍々しい殺気が辺りを包み込んだ。
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