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5ー03
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「退魔師め…よくも私の顔を…私の顔を、私の顔を!!」
手をガチガチと震わせ、重々しい邪気に満ちた声が響き渡る。
「許さない…許さない許さない許さない許さない!!八つ裂きにしてやる!」
女朗蜘蛛の焼けただれた顔は二つに裂け、中から蜘蛛と人間が合わさった歪な顔が現れた。
そのおぞましい様に俺の体を支えるザクロの小さな悲鳴が上がる。
「ひっ!」
「…アレがヤツの本当の顔なんだ。うっ…く…」
「…!章人、やっぱりさっきのが…!」
上半身を押さえ、肩で呼吸する俺を心配気に見つめるザクロを落ち着かせる為、力無く微笑む。
「このぐらい、大した事ない…それよりザクロ、頼みがある」
「え…ちょい待ち!」
女朗蜘蛛の吐く鋭い糸を、ザクロは俺を抱きかかえながら瞬時に交わした。
そして続きを促すような視線を向けてくる。
「アイツの動き…止められるか?」
そう真剣に問い掛けるとザクロは一瞬目を瞬き、微かに微笑んだ。
「…勿論、お任せあれ!」
そして俺を下ろし高く飛び立つザクロを合図に、呪符を五枚取り出し、ヤツに向けて印を結ぶ。
「雷光招来!」
飛ばした呪符が避雷針となり、雷が次々と女朗蜘蛛目掛けて落ちる。
だが奴はそれを易々と交わしていき、大木に張り付いて俺達をあざけ笑った。
「あはははは!何処狙ってるんだい!!そんなヌルいモノが私に当たるワケ」
「そうだ、当てるつもりなんて無い!」
「なっ…?!」
すると女朗蜘蛛の背後を取ったザクロの翼がバキバキと音を立てながら変形し、幾重の刃となって奴の体を突き刺した。
けたたましい悲鳴を上げる女朗蜘蛛を横目にザクロは俺を見る。
「章人!」
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