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8ー03
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そんなやり取りをしている内に、俺達は目的の場所に到着した。
入口には黄色の蛍光灯で大きく「theater」の文字。
そう…つまりの所、映画館だ。
フロアの壁に上映している映画の宣伝パネルが並んでいて、ザクロが興味を示した作品を確認する。
「えーっと……『ヒラメリアン・リターンズ』。コレだったか?」
「そう、それ!」
「何々……ヒラメが実は地球外生命体で、魚を食べる人類を命の危機に脅か…………どう考えてもB級パニック映画だぞ」
「分からないかなーソコが良いんだよ!オレ、人間が作る映像作品のあら探しするのが大好きでさ。外国産のB級とかアホ過ぎて最高なんだよね!」
まさかザクロにそういう趣向があったとは。
時々テレビで放送されるワケが分からない映画を好んで見てたのはそういう事なのか、納得した。
「けど此処で見ると結構高くつくし、レンタルまで待っても良くないか…」
「あ、言われてみればそうだね」
「全くだ。テメェのセンスどうかしてるぞ」
「!」
突然別の声が聞こえ驚いて振り向くと、いつかの妖狐が俺の後ろに立っていた。
「げ、クソ狐!」
「千歳!何で此処に」
「よお、アキヒト。ついでに赤毛」
いつも見慣れた狐の耳と尻尾が無くて一瞬誰か分からなかった。
しかも黒の…ロック系の洋服で、袴姿しか見たことない俺としては驚かずには居られない。
というか実体化するとこんな感じなんだな。
そんな目を丸くする俺達に千歳は口角を歪めた。
「このモールは頻繁にくるんだよ。今日はたまたま映画見てえなって思ったワケ。ホント偶然」
「どうだかー!もしかしてオレ達の後、付け回してたんじゃないの?ホントだとしても頻繁に来るとか暇過ぎ」
「黙れアホ毛野郎」
「イヤだねクソ狐」
いつかの件から大分仲が悪い二人が目の前で火花を散らしている。
そんなコイツらの雰囲気に気後れしていると、千歳が俺に視線を向け映画のパネルを指差した。
「俺様のオススメはコレ。『欲望とインソムニア』」
「これって確か…恋愛モノだろ?意外だな、そういうのが好きだなんて」
「別にいちゃつくのは興味無い。この映画は人間共が互いに疑心暗鬼になって貶め合うのが滑稽で笑えんだよ」
そう言って笑う笑顔が禍々しくて正直引いた。
こ…コイツ性格歪み過ぎだろ。
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