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苛立ち
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放課後、腹が痛いだの言う田中に無理矢理ミットを持たせた。
どうせ仮病に決まってる。
一日の苛立ちを田中に打ち込む。
黙々と。
ただ黙々と。
「ま、間宮? それくらいにしないか? 田中が壊れる」
先輩に言われ拳を下ろすと田中が満身創痍の状態で横たわった。
確かに壊れかけてる。
「うぁ、おいっ! 先生田中が気絶した! 今保健室に連れてってやるからなっ」
田中を先輩達に任せ、俺はいつものメニューを熟す。
充分な練習量を終え、もうそろそろ上がるかという頃合いに田中が帰ってきた。
ヘラヘラしながら先輩に付き添われている。顔に湿布していた。
ばかなやつ。
ミットを持ってるのに避けるからだ。しかし、やりすぎたかもな。素人なのに割と本気で撃ち込んだ。
次はもっとうまくやろう。
「おい行くぞ」
声をかけると田中が気恥ずかしいのだろう、困った様子で頭を掻く。
汗を吸ったTシャツを脱ぎ捨てる。
田中が拾って洗濯カゴに入れる。
シャワー、と一言。
田中がタオルと着替えを持つ。
田中が部室の戸をあける。
「おつかれーっす」
俺は田中が言うに合わせて先輩達に会釈した。
ミット打ちには向いてないんだ、と言う田中におまえは打たれ強いから大丈夫だと言ってやる。
そんなやりとりをしながら部室を後にした。
俺がシャワールームに行くとそれまでいた奴らが慌てて出て行く。
劣等感とかイロイロ刺激されるからじゃん? 間宮の身体イロイロすごいし。 もうちょっと隠したら?
田中が言っていた。
野郎同士で恥ずかしがってどうする。隠す必要もねぇだろう。
イロイロ御立派デスね。
というやり取りがあったのは1年の時だったか。
今や俺がシャワーに行くと誰もいなくなるのにも慣れた。部でも近寄る奴はいないしな。
慣れないのは…
田中のうっとりとした視線。
ハーフパンツと下着をいっぺんに脱ぐと後ろから声がかかる。
「あーいかわらずのイイ?カラダ! 憧れるわぁ」
よっ、憎いね! という気色悪い奴をを一睨みしてシャワーブースに入った。
蛇口を捻ってシャワーの温度を確かめる。筋肉は冷やすと疲れが取れにくくなるからだ。
簡単に汗を流してシャワーを終えた。
俺は水が滴る邪魔な髪を両手でかき上げると、振り返った。
当たり前のようにいる田中。
ニヤニヤしている。
目でなんだと問いかけると、意味深にシャワールームの入口を顎で指した。
顔を向けるとはっきりとした二重と目が合う。無表情なのに何処か優しげな顔。
「あんたなんでここにいる?」
本庄だった。
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