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短い接触
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なんでここにいるんだ、という俺の質問に本庄は応えなかった。
ただ俺を見てる。
いつも感じる視線が今日は近い、が動きは相変わらずなかった。
諦めて田中を見た。
相変わらず田中は不愉快な笑いを絶やさない。
くそ、こいつボコしてぇ。
俺だけが困惑してるみたいだった。
黙ったままの本庄に目を向ける。
ああ、そうだと思った。
そうだ。
とりあえずパンツ履こう。
そう思うと、何故だか本庄が俺の股間ばかりを直視しているように思えて仕方がなかった。
髪を拭きながら田中のところまで行くと、両手で恭しくパンツを渡された。
黙ったまま受け取って履く。
シャワールームには俺のパンツを履く音だけがする。
その最中も田中はだらしない顔のままだった。
田中にはきっと俺がいつになく焦っているのがバレてるのだろう。
くそが。
悪態をつくのを寸でで堪える。
田中がそんな俺を見てから、本庄に向けて口を開いた。
「ねぇ、」
「やっぱり」
田中の男にしては甲高い声に別の声が乗っかる。小さな声だったが音が反響しやすいシャワールームには充分な音量だった。
「本庄くん? やっぱりって?」
田中が問うも本庄は応えない。
視線は俺に定めたまま。
田中は俺に欧米人のように肩を竦めて見せた。
俺もそれに習って田中の横の制服に手を伸ばした。スラックスを履いてベルトを通す。
変な奴だ。構ってられるか。
いくら相手の顔が良かろうが、こうも理解が出来ない真似ばかりされると、得体の知れない薄気味悪い奴になる。相手にしないが一番良い解決策だった。
「やっぱり、違ったか」
また突然、低く重々しい声が空気を震わした。
シャツを羽織りかけた手を止めて本庄を見たら、もう踵を返して去る後ろ姿だった。
「なんなんだよ」
田中がさぁと首をふる。
本庄は言った。やはり違うと。
何が違ったのだろうか。
意味わかんねぇよ。
頭を掻きながら、もう一度俺は呟いた。
なんなんだ、あいつ。
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