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無自覚
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あの女、茅野とはあのまま別れた。
昼休みの終わりを告げる鐘が鳴ったからだ。
おかげで昼飯を食いっぱぐれた。
別れ際に放課後迎えに行くから待っていろ、と言い残していたが知った事じゃない。
トレーニング優先に決まってるだろうが。
田中は授業が始まる直前まで笑いを堪えているが為に震えていた。
何をそんなに笑うことがあるのか不思議ではあったが、田中のいつもの発作ということにしておく。
結局、茅野が俺に話かけて来た理由も内容もわからないままだ。
ただ確かなのは「本庄」が絡んでいるということだけ。
また本庄か。
あの日のシャワールームで会った以降は音沙汰がなかった。
が、田中には言ってないが、実はまた本庄と目が合うようになっていたのだ。
時期的に大会の後からだったと思われる。
思われる、というのも大会のあとは視線が多過ぎて、本庄が見ていたかどうか定かではないからだ。
いや、いつから見てるか、なんてどうでもいい。なんで俺を見るか、だ。
「なんてゆーかさー、間宮はほんとストイックだよねー。なんでそんなに自分いじめんの好きなの?」
先輩からボディブローを一分間受け続けた俺は、M呼ばわりした田中を鼻で笑ってやる。
「弄られんのが好きなのはおまえだろ……来いよ」
「う、あぅ……ご、ごめんなさい」
しどろもどろの田中は隅に縮こまった。
今日はもう上がろう。大体のメニューはもう済ました。ロープやストレッチが残っているが、生憎そんな気分になれない。
なんか落ちつかねぇ。……まさかな。
野次馬の視線は感じるが、今日は本庄の視線は感じない。いつもの視線がないから落ち着かないだの思いたくはなかった。
余計な事を考えないですむよう、今日は早く帰って寝ることにする。
シャワーに行くべく田中に声を掛けた。
「はいよ。ってか珍しいね? トレーニング切り上げなんて。体調悪いん? ーーーあら?」
言いながら田中がドアを開けるとそこには無表情の女が立っていた。
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