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そこかしこから漂う匂いは香ばしかったり、甘かったり、タバコやコーヒーだったりと様々だが概ね食欲をそそる匂いだった。
あの後、シャワールームを出ると茅野は話があるから付き合えと俺に迫った。飯を食いに行くから勝手にしろと言えば、了承してついて来た。
「んとねー、ぼくはえびグラタンにする」
「ドリンクバーでいいわ」
各テーブルに備えてある機械のボタンを叩くとドアチャイムの様な音がした。すると直ぐに男の従業員がやって来る。
田中は宣言通りにえびグラタンと茅野のドリンクバーをオーダーした。
「今日は通常食で頼む」
「はっ?」
間の抜けた声がして顔を上げると、目があった従業員は何故か怯えたように固まった。
「あーそか。新人かー。えと、テンチョかキッチンの神崎さんに通常食って言えば分かるからね」
「はぁ、通常食ですね? えっと、ではご注文の確認を致します。」
オーダーの後、飲み物をとりに行こうとした茅野を制すと田中はドリンクバーに向かって行った。
茅野と二人きりになる。
途端に落ち着きがなくなり、何か言いたそうにしているのがわかった。
が、こういう時の上手い聞き出し方を知らなかった。
「ファ、ファミレスで通常食ってなによ?」
「見れば分かる」
「そ、そう」
「………。」
会話が素っ気なく終わる。気不味くなったから会話の糸口を探しただけといった様子だ。もっとも世間話をしに来たわけじゃないと分かっていたが。
「お待たせー。はい、日替り紅茶アッサムだったよ。だからミルク持って来たんだ。間宮は水な」
俺と2人きりがよっぽど苦痛だったのだろう、田中に礼をして受け取る茅野はあからさまに平静を取り戻した。
「それで、本庄くんの話なんだよね?」
席についた田中が言うと茅野は頷く。
茅野は本庄と自分の関係から話し始めた。
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