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応援したいって何をだ。
話が飛躍しすぎてわからなかった。
「あ、ごめんなさい。話飛んじゃったわね。聞いてみたわけじゃないんだけど、あたしと別れたのは他に好きな人が出来たからみたいなの。ちょっと前から作る詞もラブソングばっかりになってて、おまけに毎日学校に来てるでしょ? 誰目当てなのかなぁって思って本庄くんの視線追ってたら間宮くんがいるじゃない?」
「ふむふむ、なーるほど。そーいうことだったのか」
「………。」
捲し立てる茅野の言葉の半分の意味も理解出来なかった。
田中は納得がいくようだから田中にすべて任して食事を続ける。
田中のグラタンがいつの間にかテーブルに置かれてたが見向きもされない。
「本庄くんが一生懸命になるなんてバンド以外ではすっごく珍しいから本気なんだなぁって。ちょっと趣味が変だけど……。でも本気なら応援したいなって」
「ダイジョーブ。この田中にお任せあれ。良きに計らおうではないか」
盛り上がる会話とは反対に田中のグラタンは冷めていく。
「本当に? よかった。本庄くんちょっと変わってるけど悪い人じゃないのよ。むしろすごくいい人なんだけど勘違いされやすくて」
「確かにぼくたちも勘違いしてる部分があったかもしれないない。でもこれからはぼくも応援するよ! 間宮にはぼくからちゃんと言っておくから安心してねぇ」
茅野から礼と満面の笑みを受け取った田中は鼻の下が伸びきっている。
グラタンと田中の温度は反比例するようだ。
そういえば茅野の顔は田中好みだったことを思い出す。
散々話してすっきりしたのか、さっぱり顔で、もう帰るね、という茅野に田中はアドレスの交換を求めた。
「……よし来たよー。いつでも連絡してねっ」
「こっちも入ったわ。じゃあ進展あったら教えてね」
2人は近づけていたスマホを離した。赤外線送信は終わったようだ。鈍臭いようで田中はちゃっかりしていた。
「田中くん、間宮くんのことよろしく。間宮くん時間とらせてごめんなさい。お詫びにここの代金は払うわ」
「ああ」
払うのは冷めたグラタンの代金か。
「連絡するからねぇ」
じゃあ、と軽く手を振って去る茅野に田中はブンブンと両手を振って見送った。
「あ、やべ。冷めちゃった」
ようやくグラタンは気付いてもらえたようだった。
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