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甘い肉
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わかりやすい。例えば百人に聞いたら百人にわかりやすいと認めるのは田中だろう。にこにこにこにこと、これまで暗い顔をしていたのが嘘のようだった。それもこれも茅野がいるからだろう。下心丸出しでみっともない事この上ないが、これが田中だ。
また例の如く、俺たち三人はファミレスに来ていた。
話がしたい茅野と、茅野と話がしたい田中。俺はいつも通り飯を食いに来ただけだ。
茅野に同行を許したのは断るのが面倒臭そうだったからだ。……まぁどちらにせよ、といったところだったが。
「……。」
「……。」
「茅野さん何飲むのー? またドリクバー?」
「……。」
「あ、このパフェ美味しかったよー。あと、このケーキにアイスと苺乗ったやつとかー」
一人話す田中は無視される。明るい顔になったは良いが、ここまで無視されると一人ブツブツ呟いていた頃と状況は変わらない。寧ろ一人でご機嫌なだけにタチが悪い。
田中は茅野の返事を期待していなかったのか、手元にあった呼び出しボタンを押した。従業員がお決まりの言葉と共に注文を取りに来る。
「ドリンクバーとクリームソーダとバニラパフェとシフォンケーキ苺とバニラを添えてってやつと通常食ね」
ほとんどひと息で言った注文は聞くだけで甘さが広がるようだった。
「おまえバニラが多くねぇか」
「そんなことよりあたし聞きたいことがあるの」
「茅野さんぼくはなんでも答えますっ!」
「答えてくれないかな?」
「何にだ」
「ぼくは彼女はいませんっ!」
「三好さんのことどう思っているの?」
「あ?」
「あ? じゃないわよ。どう思っているの?」
「ぼくは茅野さんの方が好きです」
「どうなのよ?」
「むしろ茅野さんが好きです」
「お待たせ致しました。こちらクリームソーダとシフォンケーキ苺とバニラを添えてです。」
注文したものと同じだけ甘い雰囲気だった。主に田中の周りだけが。バニラの甘さがなかなかリセットされないように、田中も無視されてもされてもめげずにしつこい。
どうって、と考える。三好って部のマネージャーの女だ。俺が思う三好かーーー。
「四字熟語で言うと」
「僕は茅野さんと相思相愛になりたいですっ!」
「言うと?」
「焼肉定食」
「は?」
「草食女子のほうが素敵ですよっ!」
「お待たせいたしました。こちらバニラパフェになります」
当然のように受けとったのは田中だった。
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