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煙ある
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早々にケーキを食べ終わり、パフェに手をつけた。バニラパフェのバニラアイスの部分だけを器用に食べる。そうして残ったコーンフレークを田中はいつも持て余していた。
「なんなのよ。焼肉定食って」
「知らねぇのか、あんな美味いもん」
「そ、それって、つまり……」
「間宮ー、そんな言い方だと間宮が三好さんの事好きって勘違いされちゃうよ? そもそも焼肉定食って四字熟語じゃないし」
「あ? 別に嫌いじゃねぇ」
ふくよかな、ふくよかすぎる顔立ちを思い浮かべる。絵に描いたようなおふくろ感が漂う雰囲気は嫌いじゃない。
「嫌いじゃないと好きの差はすごく違うんだよー」
「つきあってるとかじゃ……?」
「興味ねぇな」
コーンフレークを食うまいか、と悩んだ田中は結局俺にパフェの器を渡してきた。メープルシロップがかかったコーンフレークの下には、白桃がアイスや生クリームに塗れてどろどろの姿で底に居る。田中が好きな部分に辿り着くにはどうしてもコーンフレークは邪魔だった。そうして俺にいつも無理矢理寄越してくるコーンフレークは嫌いじゃない。
「じゃあ、やっぱり田中君が本命なのね?」
窺うように言う茅野はそうであってほしいのか、違っていてほしいのか読めない表情だった。
三好は軽いジャブだったのだ。きっと、三好との事よりも田中との事が聞きたかったのだろう。
クリームソーダが器官に入って噎せている田中は顔が青白く、死にそうだった。
俺には軽いジャブだが田中には見事にストレートが入ったようだ。反撃も出来そうにないくらいダメージを受けていた。このままいけば勝負は茅野の勝ちだ。
「だとしたらどうする?」
試すように言った。途端、田中がさらに蒼白になる。
「ーー! 否定、しないのね。まぁ、パフェを分け合って食べるなんて普通はしないものね」
もう咳も治まったのに田中は反撃しない。出来なかった。
既にK.O寸前だった。脳しんとうで目の前も見えていないんじゃないだろうか。
「学校でも田中君さえいれば良いって、あなたに告白した子に言ったらしいじゃない? まさかとは思ったけど、火のないところに煙は立たぬってことね」
「まぁ、多少違うが嘘じゃねぇのは確かだな」
「田中くんと付き合ってると思って良いのよね?」
「好きにしろよ。面倒くせぇ」
「お待たせしました。通常食でございます。ご注文は以上で揃いましたでしょうか」
田中はリングに沈んだ。
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