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下ネタでNight
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薄暗い室内がさらに暗くなり、これからロリポップキャンディ☆の演奏が始まるのを予感させる。
暗闇の中、ステージに立つ影と寄って行く観客が視える。寄って行った人たちの多くはカメラを抱えているようだった。
大方、顔の良いのがいるのだろう。
アイドルの追っかけみたいなその様にますます詰まらなくなってくる。
「田中。俺はカウンターでいるから」
「ああ、喉渇いたの? ぼくも行くよ」
室内の隅に申し訳程度に備え付けられているバーカウンターに向かった。
メニューを見たがすべて英語で書いてあり、よくわからなかった。さすがにオレンジジュースくらいは読めたが、ジュースの気分じゃない。それに果汁が100%でないものは飲まない主義だ。
「炭酸水って置いてないんすか」
「ペリエかウィルキンソンならあります」
「……最初ので」
「ぼくはジンジャエール!カットライムつきでー」
ワンドリンクのチケットを引き換えてドリンクを受け取る。輸入されたらしい炭酸水は日本のものより硬度が高かった。
ジャジャカジャン。ギターの音が響く。少し置いてベース、ドラムとリズムを刻んだ。曲調はポップス寄りかと思っていたが、名前に反してオルタナティブだった。
圧倒的にカメラ小僧が多い。しかし曲を奏で始めた途端に女の歓声が上がる。一斉にキャンディという言葉を叫び始めた。
「うわーなんだかすごい人気だねー?」
ステージと身長が低いせいでカウンターからじゃ見えないのだろう、田中がぴょんぴょん跳ねる。
ある事情でこれ以上身長が伸びるのを良しとしない俺は低いのも考えものだな、と思った。
セーラー服のへそ出しミニスカートの金髪女がステージに上がった。同時にカメラのシャッター音が忙しなくなる。
女にしては少ししゃがれた声が色っぽく感じる。英詞を発音良く歌いながら、長い髪をゆらゆらと振り回しているせいで顔を拝むことが出来ないが、整った鼻筋から美人ではありそうだった。
「間宮ーどんな子?かわいい?くそー、ぼくも見たいぃ。金髪しか見えないぃ」
サビにさしかかり尚、一層の盛り上がりを見せている観客を前にして、田中は悔しそうに俺の肩に捕まってつま先立ちをしている。
「あ」
「なになにー?」
「今屈んだとき」
見えた。
乳首が。
そう伝えようとした時に曲の間奏に入った。
「hello my babys! あまーい俺の棒付き飴しゃぶれよ」
甲高い悲鳴が上がった。金髪のボーカルはマイクスタンドにいやらしく腰を押しつけてしゃがみ込んだ。M字に開いたほっそりとした脚の付け根はスカートが捲り上がり、ピッタリとフィットした丈の短い黒のスパッツのようなものに包まれていて、ご丁寧にその場所にスポットライトを当てているものだから陰影がはっきりともっこりと見て取れる。
「ま、間宮」
「ああ、見なくていいんじゃないか」
ロリポップキャンディ☆はただひたすら下品で、それ故に盛り上がっていた。
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