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しようよ
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隣に座った本庄を意地悪く観察してやる。そんな風に思いながら見ていたら、本庄という男はなるほど王子と呼ばれるに相応しい容姿をしている。いつもの異様に強い瞳は伏せられていて、頬にまつ毛の影がかかっている。日本人にしてはやや高めの鼻で凹凸のある顔立ちだが、バタ臭さはあまり感じられない。少し薄い唇は先程の情事のせいか赤く熟れている。男にしては白すぎる肌に紅を差したような様は、はっとするほどの色香が漂っていた。
本庄が何か言いたげに伏せていた瞼を上げてこちらを見る。そうすると危うげだった雰囲気が一瞬にして霧散して、残ったのは意志の強そうな相貌だった。
「なにを話したいの」
「なにって…。そりゃおまえが俺の事をどうしたいのかってことだろ」
「間宮と、セックス、したい」
俺も大概口下手だとは思うが、本庄のそれは正に‘輪をかけて’だ。
決して逸らされない瞳は口よりも雄弁だな、と思う。
「あー、と」
「なに」
ストレートなのは好みではあるが、明け透けすぎるのはこんなにも戸惑うものなのかと、俺は今初めて認識した。今までの言動を振り返ろうとして、それは止めておいた。どっちにしろ俺は変わらないだろうから。
「セックスしたいって…、おまえって……」
「うん。したい」
おまえって俺のこと好きなのか?
そう聞こうとしたのに遮られてしまった。
逸らされない真剣な瞳。そんなものが自分を捉えて離さないとなると、女なら二つ返事で落ちるだろう。
俺が好きかなんて質問が如何に馬鹿げているかわかった。大体がキスされた時点で全てが符合したではないか。睨んでいたのも、キスも、セックスも、少し考えればそこに着地する。
口下手なのは理解したし、即物的なのは多分そこからきているのだろう。
「しよう」
「しねぇ」
返事に戸惑っていたら、キス同様押せばなんとかなると思ったのだろうか、本庄がはっきりと誘って来た。当然返事はNOだ。即答で返す。
「しよう」
「しねぇ」
「なんで」
「……フツウ受け入れられねぇだろ。」
「ふつうってなに」
目の前の整った顔が自嘲気味に歪んだ。僅かな変化だった。
「俺のふつうなんてものはあなたが目に映った瞬間に壊れたんだよ? 壊したあなたがそれを言うの?」
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