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ライバル乱入
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いきなり現れた金髪の人物と弾かれたように立ち上がって歯を剥き出し怒りを露わにする五條とを交互に見ながら俺は未だに状況が掴めないでいた。
五條の口から「敦」と呼ばれた人物はどうやら長良田高のチームではないらしい。確かに着崩された制服は彼らメンバーが着ているものと違う。パイプを持っている男含め他4人は先程横断歩道から二手に別れ追ってきた残りの奴らだ。
「五條…知り合いか?」
「知り合いも何も、ずーっと昔からトモダチだよなァ」
答えたのは金髪男だった。しかし最後の単語が引っ掛かる。
「友達…?」
「ちげぇよ!!!」
全力で否定した五條からドス黒いオーラが立ちこめてくる様に見えて思わず目を擦った。
金髪男は「友達」だというが、五條はそうで無いという。どちらにしろ一度敵と認識した長良田高側にいるのだから、五條のいう言葉を信じればいい。
金髪男はわざとらしくため息を吐くとこれまたわざとらしく肩を竦めた。
「つれないよなァ。あんなに拳で語り合った仲なのによォ」
「てめェもつくづく、しつけぇんだよ。シツコイ男はモテねーぞ馬鹿が。シネ、消えろこの世界から消滅しろ」
「ほんと、成長しねえな。ガキみたいなことしか言えないんだから」
「そのガキに挑発されてのこのこやってきた奴がよく言うぜ、ハゲ」
「ハゲてねーよガキが」
「そんなダメージヘアだとハゲるに決まってんだろ。お先真っ暗だなァ、あ、頭皮的にはツルピカで明るいってか?」
ブハハハと笑い飛ばす五條に、眉根を寄せる金髪男。迫力からその動作一つ一つからギシリと軋むような音が聞こえる気がする。金髪男の沸点が近い。
しかし、なんと低レベルな言い争いなんだろう…。
彼はいつもこんな感じで敵と挑発し合っているのだろうか。如何せんどちらも高校生なわけだから、らしいといえばらしいのだが。金髪男の側にいる長良田高の奴らも、毎度のことなのか微妙な表情。
散々罵りあっていた彼等だったが、金髪男が不意に俺の方を向いた。
「何、そいつ、味方?」
じろりと鋭い視線が四肢を刺すようだった。俺がこくりと頷けばふうん、と見下した笑み。
「珍しいなァ、お前が仲間連れてるなんて。1人で居るのがモットーじゃなかったか?…あ、マジで弱っちまったからいざと言うときの用心棒、か」
「ッるせェよ」
チッと舌打ちをした五條は一瞬俺の方を向いてからまた金髪男の方に向き直って戦闘姿勢をとった。
「兵藤、逃げろ」
閑静だった住宅街の路地裏に冷風が吹き抜けた。響いた五條の言葉が耳を叩く。俺は考えるより先に首を振った。金髪男が危険な存在という事は目に見えている。
「拳で語り合った仲」というのが本当なら、強かった五條と少なくとも互角に張り合ってた、という事だ。現状、金髪男+4人の男がいるというのに、五條はまだ自分のプライドを捨てずに逃げろと言う。
「馬鹿、さっきのが最初で最後っつったろうが」
「長良田高との延長戦だ。まだ終わってない」
俺の言いたい事を察した五條は細い唇をキュっと噛み締めた。それは瞬きと同じ速さで解かれて次の瞬間には怒鳴りに変わった。
「敦の強さは今までの比じゃねーんだぞッ」
ビリリ、と声を受け止めた身体が震えた。お前がかなう相手じゃねェ、と怒りを露わにして忠告をする五條を初めて見た俺は、その迫力に自然と足が竦んだ。俺達のやり取りを眺めている金髪男達は口笛を鳴らし小声で囁いたりしてこちらを冷やかす。
五條が俺を必要としなくても、嫌いになっても、こんなやつらの仲に1人残していく訳にはいかない。そこまで落ちぶれてない。五條の思いをねじ曲げてでも、それでも俺は
「お前を1人にはしない」
五條の瞳が見開かれた。
そして息を呑む彼と俺の間を気怠げな笑い声が遮った。
「話し合いはまとまったかァ?」
くつくつと喉を鳴らす金髪男は珍しいモノを観る瞳で目尻をスッと細めた。冷たい風が自身の頬を撫でる。
「だったら、さっさと喧嘩といこうぜェッ」
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