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エピローグ
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目が覚めると、弓弦さんはいなかった。
僕は、部屋の床から、一枚の白い羽根を拾い上げた。
僕は窓辺に寄った。
事実は全て僕にはどうでもいいことだった。
なぜなら僕が呼べば、弓弦さんは必ずそばに来てくれるし、僕もまたきっといつかそのうち羽が生えるに違いないから。
Io lo so perche tanto
di gran pianto
per l'aria concava
perche stelle cadono
僕は知っている、なぜこんなに涙が流れるのか
円い虚空を横切って、なぜ星が落ちるのか
Ritornava una rondine al tetto:
l'uccisero:cadde tra spini:
ella aveva nel becco una parola d'amore
一羽のツバメが軒先に戻ってきた途端に
殺されて、イバラの上に落ちてゆく
くちばしにはまだ捧げられない愛の言葉が
Ora e la,come in croce,che tende
今は十字架にかけられたかのごとく
その胸は血潮に濡れ、つらぬかれ、ふるえている
e resto negli aperti occhi un grido:
aspettano in vano:
egli immmobile, attonito,addita
al cielo lontano.
perdono
見開かれた瞳には、叫びが映っている
虚しく待ってみても
彼は動かない、茫然とした顔のまま
その手は、かなたの空を求めてる
E tu,Cielo,dall'alto dei mondi
sereni,infinito,immortale,
oh!d'un pianto di stelle lo inondi
quest'atomo opaco del Male!
そして君、この世の高みから
晴れやかで、終わりのない、死ぬことのない、天よ
ああ、星の涙で洗い流してくれ
悪でくすんだこの地球を
完
注:最後の詩、及び文中の詩句は、以下の詩を元に、作者が改編したもの。
原詩 ジョパンニ・パスコリ「八月十日」Giovanni Pascoli "X agosto"1896
2006年5月(2007年8月再)「NHKラジオイタリア語講座テキスト」応用編、森口いずみ氏訳参照
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