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大人たちはどうしたものかと相談をしにキッチンへ姿を消した
「あの人達は何を話しているのだろう」
記憶喪失の少年がエイラートに尋ねる
「ぼくたち二人のどちらかが鉱石かと探っているんだ」
「どういうこと?」
状況の分かっていない少年にエイラートが説明をする
彼はずっと前に目醒めていたが眠ったふりをして博士たちの話を聞いていたのだと言う
「では僕か君が孔雀石だと思われているのか、」
エイラートは少年の顔を覗きこんだ
「ねえ、ほんとうに記憶喪失なの?」
「花の散るプール、水音、それより前のことは頭の中になんにも残っていないんだ」
夢の断片のような記憶を語る少年の白い横顔を見つめ、エイラートがふうんと頷く
「でも僕は多分、鉱石じゃない
手も足もほら、人間そのものだもの」
「それならぼくも同じだよ」
綺麗な小枝の指をつかまえ、エイラートは自分の首にもとにあてがう
「こんなに、生きてる」
エイラートの肌は滑らかで細い首筋から華奢な鎖骨へ続く、
そして少年の手の下で確かに脈打っていた
「ぼくら自身でさえ分からないのに、あの人たちに分かるものか」
エイラートは呟くと少年の手を離し、長椅子から降りた
「どこへ行くんだ?」
「喉が渇いたから水をもらってくる」
記憶喪失の少年をおいてエイラートもキッチンへ向かう
キッチンではペッツ博士たちが少年たちの扱いについて話し合っていた
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