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さん
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………
また、見た。
また見たんだよ、ゼブラ柄の猫を!
なんてあいつらに言ったところで絶対信んじねぇし、つーかいい加減しつこいとまで言われそうだ。そんなの勘弁だから今回はもう俺の中での感動だけで留めておこうと思っている。
授業中にも関わらず俺は窓の外の景色を眺める、のもほんの少し前までで今は体育の授業を受けている他クラスの女子を見ている。うわー、可愛い…あの子。ロング最高。一つに縛った髪の毛が揺れる様を見ながら頬杖をついてため息を吐く。
「おーい、川崎ー、そんなに俺の授業つまらんかー?」
「徹(とおる)ちゃんの授業がつまんないんじゃなくて女の子見てるのが楽しいだけー」
「誰かあのヤリチンしめといてくれ」
教師らしからぬ発言をした現文教師の徹ちゃん。誰がヤリチンじゃぼけぇ…でもあながち間違ってないとか思ってしまったじゃないか。それでもクラスの女の子に悪いイメージ持たれるのはいやだからやんわりと否定しといた。前の席の北村が爆笑してたから椅子蹴ってやったら目を細めながら睨んできやがった。うぜ。
クラスは笑いに包まれながら授業は進み徹ちゃんはまた教科書を朗読していく。緩く湧き上がる欠伸を噛み締めながらパラパラと教科書を適当にめくる。不意に教室全体を見渡してみたら高岡が口開けて寝ているのが見えた。ははっ、めっちゃマヌケ面なんだけど。笑える。そしてその奥の田端も目に入った。馬鹿みたいに寝ている高岡とは違って真面目に黒板を見てシャーペンを走らせている姿には感心してしまう。
あ。
「んがっ……あだっ……」
「涎垂らすな」
徹ちゃんが投げたチョークを頭に命中させられ唸りながら起きる高岡。くはっ…だっせぇ〜。
クラス中がまた笑いに包まれる中、田端は全く表情を変えずに教科書にマーカーで線を引いている。
あー、なんつーかホント真面目よな。面白いとか面白くないとかの問題じゃないけどさ…こうも周りが盛り上がってるのにねぇ?なんかしけてんなー。それとも人とツボが違うとか?
その後からは変に田端に興味を持ってしまいその日の現文の授業中はずっと田端を見てしまった。
その日の授業は全て終わり特に部活にも入っていない俺は早々に帰る事にした。小、中学校とバスケをやっていたが一回膝を痛めてからは辞めてしまった。別にバスケで高校入ろうとも思ってなかったし、監督やコーチは勿体無いだのなんだの言ってたけど俺の気持ちは怪我をした事でだいぶ削がれてしまった。今は部活は入っていないものの飲食のバイトはしてる訳で程々に稼ぐくらいでいいかなって思ってるから週2でちょこちょこ働いてる。個人経営だしそんな入らなくても文句は言われない。
今日はバイトも遊ぶ約束もないし。北村はあんなんでも生徒会役員で今日は役員会議があるらしい。高岡は暇かなー、って声かけたら、
「姉貴に買い出し頼まれたんだけど死にたい」
「俺もついてこうか?」
「マジで?来る?」
「おー」
高岡の姉ちゃんは人使いが荒いで有名らしい(高岡家の中で)。前に一度見たことあるけどめっちゃ綺麗でそんな感じはしないんだけどなぁ。お前は騙されている、といつも言われる。
俺は電車とバスで学校来てるから高岡のチャリでニケツして駅近くのショッピングモールまでうだうだと高岡の姉ちゃんの愚痴を聞きながら向かった。
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