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じゅうろく
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「なぁ、旭」
「うぉおわ!?!!?」
自分の気持ちに気付いた所でボーッとどうしようかと校庭の体育の授業を見ていた時だった。
急に背後から肩を組まれて、思いっきりビクッて驚いてしまった。
「な、ちょ、高岡かよ!!ビビらせんなよ!!」
「かよ、って何だよ。お前が1時間目始まっても来ねぇから高岡様が心配して探しに来てやったんだろうが」
って言う高岡は心配半分サボりたい気持ち半分てとこかな。
高岡は俺から腕を話すとそのまま下に胡座をかいて座った。
「お前が急に出てくからさ、俺も北村も声かけたけどお前気付かねぇし」
「マジか」
「で、1時間目始まっても来ないからさ。徹ちゃんが「あいつまたサボりかよ、書庫整理またやらせんぞ」って。あー、俺も書庫整理やりたいっす、って出てきたけど」
書庫整理のワードにドキッとしてしまった。
それを高岡は見逃さず、
「……なんかあった?田端と」
「目ざとい…お前」
「はは、よく言われる」
ニコニコ、と言うかニヤニヤしながら俺に問いかける高岡。こいつ、本当こういう事はすぐ勘付くし、変な嘘はバレる。でも多分それはこいつ自身が隠し事の類が苦手で、でも本当に頼りになる存在だから俺らが相談なり困った事があると話を持ちかけるのが頻繁にあるからだと思う。
「なんかさ、俺さ…」
「うん」
「田端の事…す、好きかも…しれない」
「…………」
思い切って高岡に正直に言った。まあ、なんていうか急だし相手男だし田端だし、で引かれるかなぁって。
ドキドキしながら、高岡の答えを待つ。
「……へぇ」
って、
「それだけかよ!!」
意を決してカミングアウトした俺が思っていた反応とは全く違う反応を示した高岡。え、そんだけ、そんなんなの?
「え、何が」
「いや、なんかもっとこう、あるじゃん!お前男好きなの?とか何で田端なの?とか!」
「あぁ、そういう事?やー、そりゃ、思ったけどなんか納得しちゃったから」
「は?」
高岡はポケットから取り出したガムを俺にも一粒渡して噛み始める。
「見てたら分かるだろ、なんとなく」
「………誰をだよ」
「お前ら2人」
「2人って……」
「お前見てても思うし、田端見てても思うし」
田端を見てて、って……。田端もなんか反応してんの?
「いや、田端は…」
「田端もお前見てるときあるけど」
「なわけ……気のせいだろ…」
「まあ、知らねぇけど」
知らねぇって……
「とりあえず、頑張れよ。俺は応援するけどな」
カラッと笑う高岡。
「頑張る、って何をだよ」
「え?アプローチだろ、攻めろ攻めろ〜〜」
「お前面白がってんなよ」
ははは、なんて笑いながら寝っ転がってスマホを弄りだす。
「やっぱ、んー、話し掛けようぜ。んで遊びに誘うとかすれば?」
「は?!え、た、田端を?!」
「何吃ってんだよ」
なんて言うか、こないだカフェで話した時は何とも思ってなかったし……自分の気持ちに気付いた今、それは中々難しい事で。
「お前そんなんだっけ?」
「何が」
「いつも女の子と遊ぶ時はヘラヘラしてるし自分からめっちゃ行くじゃん」
「っ……いや、だって!…田端はわけが違うっていうか……」
「はは、ウケる」
「てんめぇ……」
「ごめんごめんごめん、いって!殴んな!」
ケラケラと馬鹿にしてくる高岡をど突く。この野郎…。
「いやまあ、なんつーかビックリした。こんなチャラくない旭初めて見たわー」
「別に普段からチャラくねぇから」
「どこがだよ」
俺も一緒になって横になり空を見上げる。
ふう、とため息はいて田端の顔を思い出す。
「可愛かったなー…」
「だいぶやられてんな」
「おう……否定できない」
「あ、今度現文のテストあんじゃん。田端に教えてもらえば?」
「うわ、それナイス」
「だろ」
ポケットに手突っ込んで空見てる俺とスマホ弄ってる高岡の上を雲が悠々と流れて行く。
「あー、そろそろ戻るかなぁ。徹ちゃんにまた怒られるし」
「はー?もーちょい居ようぜ」
「お前ぜってぇサボりに来ただけだろ」
「ちゃんと心配もした」
よし、勉強見てもらおう。そんな頼みを考えながらまた暫くボーッと空を見る事にした。
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