アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
31
-
青峰は今、立ち尽くしていた。
目の前には信頼し、信頼してくれた相棒がいる
しかし、その相棒を裏切ったのは紛れもない自分なのだ。
「テツ…」
ごめんと続くはずの言葉は黒子によって遮られた。
「青峰君。バスケは好きですか?」
久しぶりに聞いた声はなにも変わっていない感情を表に出さない、平坦な声。
でもそれが今はとても心地よかった
知らない内に青峰の目から涙が溢れていた。
「あ、当たり、前、だろ…」
泣きながら、ぐちゃぐちゃの顔で伝えた。
黒子はそんな青峰を優しく抱きしめた。
久しぶりに感じた黒子の体温にもう我慢する事は不可能だった。
「テツ…テツ…!」
「はい」
名前を呼びながら黒子を強く抱きしめる青峰。
「あ、の…黒子っ…ち」
控えめに黒子を呼ぶ黄瀬。
視線を向ければ今にも溢れそうなほどの涙を浮かべた黄瀬がいた。
「はい。またそのあだ名で呼んでくれるんですね」
嬉しいです。
そう言って笑った黒子の笑顔で、黄瀬の目からも涙が溢れた。
「当たり前じゃないっすかぁ…これからも…ずっと黒子っちっ、て呼ぶっすよぉぉ…」
黄瀬も黒子に抱きつく。
「黒子…」
緑間に至ってはもう泣いていた。
黒子は少しだけ驚いたように目を見開くと優しい笑みを浮かべ、空いている左手を差し出した。
「緑間君。また人事を尽くして一緒に頑張りましょう?」
「とう、ぜんなのだよ…」
黒子の手を取りながら、伝えた。
泣いて、声がしゃくり上げてしまっているが、しっかりと伝えた。
緑間なりの言葉の形だったがしっかりと黒子には伝わったようだ。
黒子は笑顔で はいと返事をした。
「黒ちん…」
紫原も泣いていた。黒子は紫原にしゃがむ様に言ってしゃがませると青峰と黄瀬を撫でていた手で紫原の頭を撫でた。
「大丈夫ですよ。紫原君」
そして撫でながら紫原を慰めた。
「黒ちんじゃ、なきゃ、こんな事したやつ、ひねり潰してる…」
不器用な紫原らしい言葉だった。
「はい」
それを分かっている黒子も笑顔で返事をした。
「…テツヤ…」
赤司は泣いていなかった。
いや、泣くのを我慢しているようにも見えた。
「おかえり、テツヤ」
と赤司は泣き笑いを浮かべながら言った。
「はい。ただいまです。」
その言葉を聞いた瞬間に今まで耐えていた桃井が走り出した。
「テツくーーん!!」
「ごふっ!…桃井さん」
抱きつかれた(タックルされた)黒子はもし青峰と黄瀬がいなければ後ろに倒れ込んでいただろう。
「テツ君…テツくーん!!うわぁぁぁん!」
「はい、桃井さん。みなさんを支えてくれてありがとうございます」
「当たり前だよぉぉ…テツ君のお願いだもん」
涙を拭いながら自慢げに話す桃井。
そんな桃井を見て、みんなの顔に笑顔が戻った。
「黄瀬ちんと峰ちんいつまで黒ちんに抱きついてるの〜?」
若干拗ねたような口調で2人を黒子から引きはがす紫原。
「あぁ…黒子っちぃぃぃ…」
引きはがされた黄瀬は名残惜しそうな声を出し、青峰は不貞腐れている。
そして、黄瀬と紫原の口喧嘩が始まった。
その隙にと、桃井が黒子に抱きつこうとする。
それを阻止する青峰。
2人を止める緑間。
それを穏やかな瞳で見つめる赤司。
その光景はまるで、昔のみんなに戻ったようだった。
end
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
31 / 32