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桜4
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「春斗は…綺麗だな」
耳を疑った。
仁の後ろに花びらが舞う
綺麗?
綺麗だって?
仁はふわりと優しく笑って
「綺麗だ」
疑っているのを払拭するように、仁は言った
仁は変だ。
変すぎて、わからない。
優しくされるのも
面倒を見られるのも
…
嬉しい言葉をくれるのも
どうしてか、わからない
どうして、俺にそうやってくれるのか
わからない。
「俺は……」
綺麗じゃない。
けど、本当は綺麗なものに憧れてるんだ。
本音を言いたくなる。
助けてと、縋り付きたくなる
『春には、お父さんがついてるからね』
ゾッとする。
肌を撫でる手
「春斗?」
『春にはお父さんだけ。お父さんにも春だけなんだよ?』
耳元で囁かれる、熱を含んだ言葉
「っ!!き、綺麗なんて、言うなっ!!」
逃げたい。
知られたくない。
「し、知らない奴なのにっ!なんでこんなことすんだよっ!!!」
「春斗?」
仁みたいな人
もしかしたら本当に優しい人に、全部知られて、嫌われるのは辛い。
知られたら、嫌われる。
軽蔑される
仁は腰を屈めて俺と目線を合わせる。
なんでも、許してくれそうな視線
初めてあった無償の優しさ
捻くれてる俺には、もったいない
近づく体を突き飛ばす。
「近づくなっ!ホモ野郎っ!!!」
「春斗っ!!!」
よろけた隙に、俺は逃げ出した。
「春斗、やり直す気があるなら、ここにこいっ!ずっと待ってるからっ!」
耳を塞ぐ
嫌いだ、男に欲望を抱く奴も
変な性癖を持つ奴も
優しく、してくれる奴も
大っ嫌いだ。
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