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春斗の事情by栗橋
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風呂に入って、のんびりする。
なんか、今日はいろいろあったなぁ
変な子供を連れ回して、その日に部屋に入れ
これってやってること、誘拐かなぁ…
「はぁ…」
でも、お陰で蒼先輩のことを考えずに済んだ
休日になると、蒼先輩が頭に浮かんで
何もできなくなってしまっていたから
「あがるか」
風呂からあがると、春斗はテレビの前で丸くなって寝ていた。
疲れたよな?
知らない奴らに囲まれて、連れ込まれて
気を、張ってたんだよな?
頬を撫でてやると、少し苦しそうに唸る
この子は、何を背負ってるんだろう
他人を信じないだけじゃない、
自分すら信じてない
「よいしょ」
ベットに運ぼうとすると持ち上げれば
細い体に驚く
華奢で折れてしまいそうで
僅かに、春斗は身じろいでイヤイヤと首を振る
「春斗?」
「っ、や、やめ…」
汗をかき始めて、呼吸が荒くなっていく
「春斗?はる…」
「やっやぁっ!!」
耳を塞ぎ、震えて…
起きてるのか?
でも、閉じられた瞼は開かない
「や、やぁっ!!やめてっ!父さん!!!」
俺のシャツを握りしめて、春斗は叫んだ
父さ、ん?
父親に、何かされてんのか?
「春斗…春斗!」
汗ばむ額を撫でる。
「…た、す…て。」
「起きろ、春斗。もう大丈夫だから」
「たす、けて…」
伸ばされる手を掴む。
頼りないほど、細くて…
溢れてくる涙を、指で拭う
何があるのか、知らない
けれど、その何かは…きっと春斗の気持ちを捻じ曲げるようなことなんだろう。
実の、父親が?
この子に何かをしてるのか。
胸を突き上げる衝動
守る
守ってやらないと。
この子を俺が
今までに抱い事のない感情を
激しく呼び起こされるようだった。
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