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本当の優しさ2by栗橋
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「うわ、雨かよ…」
小雨が降り続く
うんざりだな、こういう天気
傘、どこだっけ?
玄関を見回して、自分の傘を見つける
隣にビニール傘があって
「春斗、いつもビニール傘なんだよな…」
透明で前が見やすい、とか言って
思い出して、笑ってしまう
『好きでいるの、やめる』
チクチクと刺すような痛みに襲われる
「きっつ、いな」
思ってた以上に、俺は春斗が好きらしい
いつか別れる、とか簡単に言っておいて
こんなに辛く感じるとか…
実家までの道のりでさえ、春斗との思い出に溢れかえってる
泣いてる春斗を慰めた橋の袂
キャベツを見比べてたスーパー
そして
居酒屋、仁
『居酒屋、仁って…』
リアクションに困ってたよな、春斗
春斗との思い出で溢れかえってる。
「今日は…仕方ないよな」
深呼吸してから引き戸を開ける
「仁にぃ、おめでとう〜!!!」
クラッカーの音
色とりどりの紙テープが頭に乗った
「あ、な、なに?」
「なにって!仁にぃの誕生日じゃんー!」
瀬奈が嬉しそうに言った。
「あ、あぁ」
「「おめでとう、じんにぃー」」
そっか
当日は、春斗と二人きりにしてくれてた訳だ
「あれ?春斗は?」
奏太の言葉
「……ちょっと、用があって…」
出て行ったと、言えなかった
言ったら、みんな寂しがるだろうから
「ほら、みんな始めましょう!!」
母さんの一声で、黙り込んだみんなは動き出した。
母さんと、目を合わせると
後で来なさいと
訴えられた。
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