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本当の優しさ4by栗橋
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瀬奈以外の家族はみんな、家に帰った
俺は瀬奈に睨まれながら
話すしかなかった
春斗の父親の事
自分を汚いと思って、体を傷つけ
自信がない事
だから
付き合ってた
最初は可哀想と思ってた、でも今は違うってこと
好きだけど、いつかは離れていくし、男同士の辛さを味あわせたくなかったこと
全部、全部
懺悔をしたくて話すと
瀬奈の目から涙が伝った
「…瀬奈、ごめん」
「なんでっ?私に、謝るの…」
瀬奈は指で涙を払うと、意思のこもった目でこちらを見た
「仁にぃは、間違ってる」
きっぱりと言われる
「春斗君が、仁にぃのこと好きで、好きで。
どんな風に頑張れば、自分を見てくれるかって悩んでたんだよ。
付き合えた時、本当に嬉しそうに報告してくて、嬉しいって笑ってたよ」
笑顔が頭に浮かぶよ
俺の好きなものを、考えてくれた
卵料理も、プレゼントも
「同情で付き合ったのは…最低だよ。
でも春斗君のこと、ちゃんと好きになったんだよね?」
「…好きだよ。でも春斗の将来を考えて…」
「春斗君の将来を、仁にぃが決めるの?」
何も、返せなかった
「男同士って確かに、偏見あるよ。私だって正直よく、分からない。
仁にぃが『気持ち悪い』とか嫌がらせでポストに変な手紙があったりとか、辛い思いしたの知ってる。
それを春斗君に経験させたくないって気持ちも分かるけどっ…」
瀬奈は深呼吸をする
「…分かるけど、それは春斗君が通る道よ」
はっきりと言われる
「瀬奈…」
「いい人ぶって、何になるの?
優しいふりしてるの、私、分かってる。
仁にぃが優しいのは、逃げてるからだよ!」
逃げてる
だって、俺は…
男を好きになるような、欠陥品だぞ?
そんな俺が、春斗を苦しめるなんて…できない
「辛いことから避けて、苦しいことから目を背け続けるの?それが何になるの?」
何もならない
ならないけど…
何が悪いんだよ
誰だって、辛い思いをするのなんて
嫌だろ?
「何が、悪いんだよ…」
辛くなりたくない
傷つけたくないし
傷つきたくない
それの何が間違ってる?
「辛いことから避けて、苦しいことから目を背けて、何が悪いっ!!俺のせいで、誰かの人生を潰すことなんて、出来るわけねぇだろっ!!」
兄妹に怒鳴ったのは、初めてだった
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