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底6
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黄色い手紙を拾い上げて
でも読む気がしなくて
そのまま部屋に戻った
「なんか、もう…疲れちゃった」
ベットにどさりと寝ると
すぐに瞼が重くなっていく
もう、夕方だ
きっともうすぐ、父さんがかえってくる
そしたら…また始まる
それまでに、心地よい夢を見よう
こんな、嫌われ者で素直じゃない自分でも
夢の中ではきっと…
幸せだよね?
そう、思って目をつむった
『春斗』
くしゃりと髪を撫でる大きな手
細められる、優しい垂れ目
茶色い柔らかいの髪
仁、笑ってる
『春斗…大丈夫だよ』
うん。
仁がいてくれれば、俺は大丈夫。
『俺はお前のこと、嫌いだけどな』
えっ?
なんで?俺のこと嫌い?
『嫌いだ。いなくなって清々してる』
ごめんなさい
そんなこと言わないで
せめてそばにいさせて!
お願いっ!
「お願い、仁っ!!!」
心臓がバクバクしてる
「あ、は、は」
リアルな夢
もう、俺は…ダメなのかもしれない
夢でさえ、幸せもない
目の端に黄色い手紙を捉える
どうせ、あの中には
俺への悪口が書いてあるんだ
終わらせてしまえ
どうせ
もう、これ以上下はない。
底にいるんだから
手紙をゆっくりと開いた。
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