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守りたい
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「…ば、かじゃ…ないの」
こんな、ラブレターみたいに
「は、ずかしくないのかよ」
甘く、優しく、厳しい言葉
求めていた全ての言葉達
「もう、信じたくないっ!」
信じたく、ないのに…
信じたい
好きなんだ。
どんなことされても
どんな風に思われても
「自分勝手っ!好きなんて言ってくれたこと…ない、くせに…」
好きなんだ
本気で好きになったから
簡単に、嫌いになんてなれないよ
胸に、手紙を抱く
「っ…」
頬をゆっくり何かが、伝う
好き
仁の思いが沢山こもった手紙
字の一つ一つが
書いてある言葉が、熱を持ってる
「仁っ…じん…」
信じるのが、怖い…
だって仁は、みんなに優しい
『でもそれは弱さを隠すためなんじゃない?』
仁は大人だ。なんでも乗り越えてきた大人
『大人の仁だからこそ、いろんな思いを隠してきたんじゃないのか?』
「…っ」
見せようとしてくれてんじゃないのか?
弱さも、強さも、俺が歩むべき道も
優しさだけじゃない、弱い仁を。
たくさんの思いを、この手紙に詰めて
「ごめん、ね…」
仁のこと、分かろうとしただろうか?
悲しいことなんてないんだろうって
そんな風に、仁を考えてきた。
子供の俺の気持ちなんて、わからない
そうやって、一線を置いていたのは
俺もなんだ。
「すき、だ。優しくなくても、弱くても…」
俺が好きになったのは
優しいからじゃないから
きっかけはそうでも。
でも、違う
困ってた顔も、くしゃくしゃな笑顔も
隣にいてくれることも
俺が成功すれば、自分のことのように喜んでくれる姿も
たくさんの好きを積み重ねて
もっと仁を好きになった。
「好きなんだ…」
仁が好き
じんわり、染み渡ってくる
また、裏切られるよ?
また同情されてんだよ。
自分の中の弱さが、そう呟いた
「もう一度だけ、信じさせて…
もう一度だけ、好きだと言わせて…
今度は、俺、ちゃんと戦うから…」
今までずっと、逃げてきた
父さんからも、気持ちが伝わらないと思った時も。
逃げ続けてきたから。
「もう、やめたいんだ。」
気持ちが伝わらなくて
悲しくなって、焦って、八つ当たりして
父さんに言われたこと、鵜呑みにして
傷ついて
信じないなんて、ひねくれる
そんな、自分を変えたい
俺の帰りを待ってくれてる人達のために
仁の、ために
「もう一度だけ…俺にチャンスをください」
仁と、一緒に
弱さを助け合って
仁を支えて、支えて欲しい
守られてる存在じゃない
俺は…誰かを守れるだけの人になりたい
「…もう、負けたくない」
父さんにも、自分にも。
封筒から、指輪が出てくる
「…これ」
俺の、指輪?
慌てて手紙をもう一度開くと
下のほうに小さく書いてあった
『俺が2つ持ってるのは、おかしいだろ?』
唇に、指輪を当てる
「…うん。ちゃんと、2つあるんだもんね」
自分を、蔑むのも、もう、終わりだ
夢を、見てる場合じゃない
俺は
未来を、みたいから
あの場所へ帰りたいから。
立ち向かえ
全てのものに
立ち向かえ
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