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報告9by栗橋 慈恩編
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「で、賭けは俺が勝ったよな?」
ニヤリと笑う慈恩さん
「ええ、まぁ、その通りになりました」
春斗を好きになるのは必然だったろうし
悔しいと全く思わないけど
「うーん…なにをして貰おうかなぁ〜」
「え、何かするんですか?」
「そりゃ、せっかくだしな。」
せっかく、って
「あの…今回はその件じゃなくて…」
「春斗君の父親のことだろう?昨日…本人が交番に来て、自分から、息子を殴った、と言ったらしい」
意外だな
あの父親じゃ、うやむやにして終わりと思ったが
「今は、精神科に行って、何もかも…話していると。春斗君に対して、してきた事も…」
「そう、ですか。」
「それで…あっちの医者は春斗君も通わせたほうがいいと、言ってきてる」
5年間、され続けてきた行為
春斗にある傷は…かなり大きい
いくら、乗り越えられたとしても
忘れようとしても、癒す事はできても
消す事はできない
「俺ができる事なら、なんでもします」
「あぁ。春斗君と、よく話してくれ」
「…はい。」
春斗に、なんて、言えば…
「そんな深刻な顔をするな。栗橋君は案外繊細な性格なんだな。」
「す、みません…」
「春斗君は、栗橋君を信用してるんだろう?
君がそばにいれば、できる事は多いはずだ。
どーんと、構えて、何があっても聞いてやって慰めて、可愛がればいいんだ」
なんか、妙な重みがあるな
「まぁ、どうせ甘やかしてるんだろうから、心配ないな。」
「…す、すみません。本当にありがとうございます」
「気にするな…俺も、他人事に感じ無かっただけだ」
何かを思い出して、ゆるく笑った。
「慈恩さんは、本当に男らしいと言うか…なんというか…」
「そうだな。俺は迷ったりしないからな」
「い、嫌味ですか?」
口の端で笑うと、慈恩さんは立ち上がった
「大事にしてやれ。お前はあの子にとって特別なんだから」
立ち去る背中は誰よりも頼もしい
「ありがとうございました」
振り返ることもせず、ヒラヒラと手を振って慈恩さんは去っていった。
「余裕だなぁ…」
あの人みたいに、なれるといいんだけど。
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