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大事に思う人4
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俺たち3人に、沈黙が落ちて
誰も口を開かない
母さんはなんて言うだろう。
認めて、くれないだろうか…
少しの期待が頭をよぎる
でも
「…気持ち悪い」
そう、母さんはいった。
キモチワルイ
母さんは、父さんが俺にした事を知らないの?
俺だって、投げやりになって自分を男達に売ってたのに?
母さんは、俺の事、気持ち悪いと思うの?
「お、俺だって、仁のこと好きだ」
仁を好きという気持ちを否定しないで
「春斗、…あなた何言ってるの?」
「仁が好きっ!男でも、この人じゃなきゃ嫌だっ」
体が震えた。
男同士は気持ちわるい?
そんな風に俺も思ってたことある。
でも、それでも仁がいい。
「春斗、落ち着いて。」
「で、も…」
髪に優しく触れられ、背中をさすられる
悔しいんだ
男同士だから、ダメだって、気持ち悪いって決めつけられて
今までの俺を、否定させてるようで
「春斗。その人から離れなさい。じゃないとあなたまでおかしくなるんだからね」
「お、おかしく?」
「そうよ。男が男を好きなんてありえないでしょう?可哀想に…もっと私が早く助けにくれば」
ずっと放っておいた癖に
いくら父さんに揺すられてたって
手段はあったはずなのに。
「帰るわよ…春斗。私が正常に戻してあげるから…」
差し出される手が、気持ち悪い
俺は、変なのかよ?
俺は、異常なの?
「自分の子供を異常だと言うんですか?」
仁が怒りを含んだ声で、そう言った
「栗橋さんに、おかしくされた。そう言ったほうが正しいかしら?」
抱きしめる腕に力がこもっていく
「お引き取りください。」
「じ、ん…」
「俺がおかしい人間だとはわかっています。
でも、春斗は違う。」
仁の鋭い瞳が母さんを突き刺した
「春斗がどんな苦労をして、どんな思いをしたか知らない癖に、異常だと言うような人に春斗を返すわけにはいかない」
「な、なにっ、勝手なことを…」
「お引き取りください。あなたと話す必要性を感じません。お引き取りを。」
そのまま背中を押されるように、部屋に向かう
「けっ、警察に言うわよっ!」
叫ぶような言葉に、仁の体がびくりと震えた
でもすぐにシャンとして
「…刑なら受けましょう。でも俺は春斗を手放しませんから」
仁の瞳は真っ直ぐに、怒りが満ちていて
俺のために怒ってくれる
仁がますます好きになっちゃうよ
でも、これは本当に良いことなのか。
仁に、迷惑かけてるんじゃないのか?
「春斗、大丈夫。俺を信じろ」
力強い声に、俺はゆっくり頷いた。
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