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映るのは
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昼休みも終わり、騒がしい教室でボーッと窓の外を見つめる。
なんだか曇り空で綺麗な青色も今日は見えない。
そんな空を見て、俺は考えていた。
なにも変わらない黒。
優しい笑顔も、あのふわふわした黒髪も
何一つとして変わっていない。
なのにどうして、何一つとしてしっくり来ないんだろう。
「俺…言ってる意味わっかんないなー…」
黒だけど、黒じゃなくて
黒じゃないのに、黒で…
「蓮ってば!」
「くろ!!」
「は?俺は空也だけど?」
「え」
振り向けば、空也がニッコリ笑ってたっていた。
黒じゃないけど…どす黒いオーラは出てるじゃないか…
「…ねぇ、ちょっとこっち来てよ」
完璧怒ってるよな…。
力強く握られた腕に顔をしかめながら、俺は大人しく空也について行った。
「ねぇ、蓮」
「は、はい」
壁丼…いや、壁ドンをされている俺に空也の顔が近付いてくる。
その顔が綺麗過ぎる事と恐すぎる事に、思わず顔を背ける。
「…こっち向いて?」
俺は静かに首を振る。
「蓮、今は俺と居るんだぞ。こっち向けよ」
いつもの口調なんてぶっ飛んでいる空也に驚き、顔を向けた。
「なぁ、そんなにあの黒って奴がいいの?毎日ぼんやり窓の外眺めて…
アイツの事ばっかり考えてるんだろ?」
「ち、ちがっ…」
「違う?そんな訳ないだろ、お前は最近…1度も俺を映してくれない。
その綺麗な瞳に、俺は映らない」
空也の目には、らしくない顔の俺が映っていた。
そして俺の目にもきっと、空也が映っている。
ふっと笑った空也は、俺を抱きしめて耳元でそっと囁く。
「誰にも渡さないよ、蓮は俺のものだ。
愛してる…蓮」
空也の目が、少しだけ揺れた。
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