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だから貴方が嫌いなのです ▲▽ ノボリ編
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疲れた…トラブル続きでここ2日仕事ばかりだった
そして漸く帰る事が出来る
「ノボリ、一緒に帰ろうよ」
「クダリまで帰ってしまったら駄目でしょ?」
「いいの!今日はもう帰りたい」
「仕方ありませんね、ではクダリはお帰り下さい」
「えっ?」
「わたくしは戻ります」
「何で~?帰ろうよ」
「いけません」
「もういいよっ!じゃ一人で帰る」
「はい」
相変わらず我儘
それを本人が気付いていないから厄介だ
「はぁ・・・・・」
今日は早く帰って眠りたかった
いつもそう
わたくしはクダリが大嫌いでした
それなのに、貴方は気付かない
子供の頃からそうでした
何でもわたくしのマネをする貴方が大嫌い
桜並木を歩きながら昔の事を思い出していた
ヒラヒラ舞う桜の花びらが作り出す遠い日のわたくし達
花びらが肩にそっと落ちて来た
それを払おうとはせず、じっと見つめまた歩き出した
(ねぇねぇ、ノボリは大きくなったら何になりたい?)
(サブウェイマスターになりたいです)
(じゃ、僕もそれにしよっと)
簡単になれる訳もないのに笑顔で・・・・・・
いつしかそんな会話も忘れ小学校を卒業して中学生になり、ますます貴方の事が嫌いになったのですよ
同じ部活に入り、真剣にやっていたわたくしよりもいい成績を残した事を忘れてはいません
本当はとても悔しかったのですよ・・・なのに貴方はいつものように笑ってわたくしに話しかけて来ましたね
(ごめんね、偶然かも)
(いえ、クダリの方がわたくしよりも優秀だった結果です)
なんてね
そんな事、思う訳がないでしょ?
本当に腹が立ちますね
(ねぇねぇ、ノボリはどこの高校に行くの?)
(ライモン高校です)
(じゃ、僕も!)
(えっ?)
またそんな簡単に・・・・・・
(あそこは難関ですよ)
(平気平気!)
(・・・・・・・・そうですね、クダリの成績なら余裕ですね)
(やだな~、ノボリと同じぐらいなのに)
同じ?どこが?
いつも兄として成績だけは抜かされたくなくて、必死に勉強していた隣で漫画を読んでいたくせに、いつも成績は数点差で何とかわたくしの方が上を保てていたと言うのに
そして二人は高校生になり隣には当たり前のように笑うクダリがいた
やはり部活は同じ、成績も同じ
違うと言えば身長ぐらいで、クラスメイトもいつもわたくしよりもクダリと楽しそうに会話をしていましたね
双子なのにどうしてこんなに差がついてしまったのでしょう
(めんどくさいな~)
(どうしました?)
(うん、なんか告られた)
(そうですか)
(驚かないの?)
(クダリはもてますし)
(同じ顔だよ?変なの)
(そうですね・・・・でも、わたくしはクダリのように誰とでも会話出来る訳ではありませんので)
(ノボリもさ~、もう少し笑ってみたら?)
(無理ですね)
(え~っ!絶対その方がいいと思うな)
うるさい・・・・・うるさい・・・・・・・うるさいっ!!
(ノボリ?)
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・勉強がありますので)
(ごめんね、顔色が悪いけど大丈夫?)
(ええ)
(わかった、じゃ僕は先に寝るから)
(はい)
簡単に笑えたらこんなにイラついたりしない
昔からそうだった
クダリはいつも笑顔で周りを明るくしてまるで天使のようだと言われていた
わたくしの笑顔を全て奪われてしまったのではないかと、いつも考えていましたよ
だってそうでしょ?同等に生まれたのならわたくしも同じように笑えるはずでしょ?でもわたくしは笑えないしどんどん貴方が嫌いになるばかり
毎日下らない事ばかり報告してくるクダリにうんざりしていました
誰々に告られただの、ノボリは好きな人はいないのかとか本当に下らない
(なぁ、クダリがB組の女子と付き合ってるってホント?)
(さぁ)
(双子だろ?)
(双子と言うだけです)
(そうだけどさ・・・・・ったく、話にくい奴だな)
(双子だから性格も同じだと思われたら迷惑です)
(マジでクダリとは違うのなっ!もういいよ)
いつもの事だからムカつきもしない
クダリと同じ顔だからと言って、性格まで同じ訳ないのに
そのまま歩き出し、中庭に向かうと後ろから呼び止められた
(クダリ君!)
(・・・・・・・・・・・・)
彼女は確か・・・・
(どうしたの?そんな顔して)
B組の?
そしてクダリと間違えている?
ふと、私の中で悪魔が囁いた
復讐するなら今がチャンスだと
(ごめん、どうしたの?)
(驚いた~、無視されてるのかと思った)
(まさか、それで何?)
(うん、ほらクダリ君が行きたがっていた鉄道フェアのチケットが手に入ったんだけど一緒にどうかなって)
鉄道フェア?
それはクダリではなくわたくしが行きたいとクダリに話した記憶がある
(ホント?嬉しいよ)
(・・・・・・・・・・・・・・・・)
(どうしたの?)
(だって、今まで誘っても断られたから驚いて)
えっ?
断っていた・・・・どう言う事なんだ
(私が告っても返事をはぐらかされたような感じだし)
(・・・・・・・・・・・・・)
(と言うか、好きな人がいるって言ってたから・・・・友達としてこれからも仲良くしようって)
好きな人?
では、クダリの彼女ではないと言う事ですか
(ごめん、やっぱり止めておくよ)
(えっ?)
(ごめんね)
その場を早々に立ち去り、ずっと同じ事ばかり考えていた
クダリに好きな人が?
でも、その方がわたくし的にはいいのかも知れませんね
うるさいクダリが離れてくれた方が
でも、何なのでしょうこの感情は
おかしいですね・・・・・・・イライラします、何故でしょう
桜の花びらをそっと手で払い、首を振って歩き出そうとした時
「ノボリ!」
「・・・・・クダリ、帰ったのでは?」
「帰るわけないよ、それより約束忘れたノボリにムカついた」
「約束・・・ですか」
「やっぱり忘れてるし!」
そう言いながらふくれっ面をするクダリを見つめ、必死にその約束を思い出していた
(今年は仕事が忙しくて桜が見れなかったから来年は一緒に見に行こうね)
(そうですね)
(約束!)
(ええ)
思い出した
去年、そんな会話をした事をクダリは覚えていたなんて
「思い出した?」
「はい」
「だから、みんなにお願いして二人が休めるように僕頑張ったんだからね」
「そうだったのですか」
「なのにノボリったら怒るしさ」
「クダリ」
貴方の事が昔から嫌いだったのは・・・・・・本当は・・・・・心の裏側を見抜かれたくはなかったから
「ねぇ、ノボリ」
「はい」
桜の花びらの中でクダリが真剣な表情でわたくしを見つめていた
「僕、ずっとノボリの事が好きだったんだ」
「えっ?」
「だから、昔からいつも気を惹く為にいろいろとね」
「もしかして、いつも告られたと報告していたのは」
「ヤキモチを焼いて欲しかっただけ」
「・・・・・・・・・・・・・」
「だって、兄さんを好きだなんて言ったら二度と傍にいられないような気がして」
「その好きと言うのは兄としてですか?」
「違うっ!そうじゃないから昔からずっと悩んでいたんだからね」
「・・・・・・・・・・・・」
おかしいですね
その言葉を聞いて、とても嬉しいと感じてしまうなんて
「桜が綺麗だね」
「ええ、でも今のわたくしには目の前に居るクダリしか見えません」
「えっ?」
「認めるしかなさそうです・・・・クダリ、貴方の事が好きです」
「ノボリ・・・・・」
「ですからこれからもずっと傍にいて下さいね」
「うんっ!ずっと傍にいる」
ヒラヒラと桜が舞う中、クダリを抱きしめた
そして漸く心が穏やかになるのを感じていた
「ノボリ、大好き」
「わたくしも大好きです」
「ずっと離れないから」
「はい」
・・・・・・・・・・・・・と、確かに言いましたが
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「どうしたの?」
「さすがにトイレまで着いて来ないで下さい」
「えーーーっ!だって傍にいると約束・・・・」
「そこまでしろとは言っていません!」
「むぅ」
拗ねるクダリを見つめ、苦笑しながら抱きしめた
結局、全て許してしまうわたくしも甘すぎるのですね
でも、好きだから仕方がありません
きっとこれからもずっとこの気持ちは変わらないでしょう
クダリが同じ気持ちでいてくれる限り、わたくしの気持ちも変わらないのだから
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