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腐れ縁
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「お久しぶりですね。陸也さん最近来ないから悠さん、寂しがってましたよ」
どこから出てきたのか、元揮君が横から顔を出して余計な事を言う。
陸也が志音と付き合ってるの知ってるだろ? なんでこういう事をズケズケと言うんだ……
冗談のつもりなんだろうけど、元揮君は少しデリカシーが欠ける残念男子だから、ちょっと俺も神経質になってしまう。
でも、俺が落ちている時一番気にして気を遣ってくれてたのも元揮君なんだよな。
いい奴なんだか、残念な奴なんだか……
「うん、わかってるよ。そろそろ悠も寂しがってるかなぁって思ったから来てやったんだよ」
陸也も調子に乗って笑ってる……なんかムカつく。
「違うだろ? 可愛い志音にフられたから、手頃な奴に構ってもらいに来たんだろ?」
「そう、そういう事だな」
三人で冗談を言い合い笑い合う。
ちょっとムカつくけど、やっぱりこういうノリは気が楽でいい。
「でも、陸也さんがここ来始めてからずっと思ってたんすけど、本当に仲良いですよね? 二年くらい前でしたっけ? 俺がバイト始めてからすぐですよね」
元揮君の質問に、少し考えて陸也が答える。
「うん、またこの店に来始めたのは二年くらい前だな。でも、その時もかれこれ四年ぶり? ……どうだったっけ?」
指を折りながら陸也が俺の方を見た。
「………… 」
確か、陸也が大学を卒業した頃に再会したんだっけ?
その時から一年くらい店に通ってくれて……それからパッタリと来なくなって……で、志音が来始めた頃にまた突然店に表れたんだっけ。
その時がそう、四年ぶり。
「そうだな。四年ぶりに来るようになってから、もう二年くらい経つのか。何だこの腐れ縁……飽きずによく来るな。もっと高い酒頼めよ」
「はは、 俺は好きなのしか飲まねぇの!」
横で元揮君が笑いながら口を挟んだ。
「本当に仲良し! なんか羨ましいです。俺、親友って奴……多分いないもん…」
いじけ気味にそう言う元揮君を陸也が慰める。
「よしよし、そんなしょげるな。お前なら友達多いだろ? 大丈夫だよ。色々親身になってくれる奴いるって」
そう言いながら、カウンターから身を乗り出して元揮君の頭を撫でる陸也。
そう……
陸也の手……大きくてあったかいんだよな。
ぼんやりと俺は思う。
ぼんやりとしながら、俺は初めて陸也に触れた日の事を思い出していた──
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