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美術館デート
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昼食を済ませ、また車に乗り込む。
何処に行くのかな……? そう思って純平君の方を見たら、ちょこっとこちらを見て照れ臭そうに笑った。
男ニ人でこうやってドライブなんて、純平君は楽しいのかな?
「次は何処に行くの?」
そう聞くと、美術館に行きたいと言う純平君。そういえば、山の上の方に美術館があったのを思い出す。
また意外な一面……
雰囲気からしてこういう類のは興味がなさそうだけど、行きたいというなら付き合おうと快諾した。しばらくの間山道に揺られ、途中で何度か停まって景色を眺めたりしながら山頂の美術館に到着した。
「俺が誘ったからここは……」
そう言って純平君が入場料を払ってくれ、ニ人で入館する。
実は俺はあまりこういった芸術品には興味がなく、見ていても何も感じない。せっかく来たのに純平君の話に合わせてあげられないかもしれないと思ったら申し訳なく思った。
「こういうのが好きなんだね。俺、あんまり詳しくなくて…… 」
初めに言っておいたほうがいいと思いそう言ったら、驚いた顔をして純平君は振り返る。
「え……マジっすか? 悠さん絶対にこういうの好きかと思ったから。すみません」
「あ、いいんだよ。こういうところあんま来ないから新鮮で楽しいよ。ありがとう」
どうやら純平君も芸術には疎いようで、ニ人してササッと眺めて美術館を後にした。
「なんだかなぁ……美術館って大人のデートみたいでいいと思ったんだけどなあ」
純平君はブツブツ言ってる。展望台のある公園で仲良く並んでベンチに座りジュースを飲んだ。
「ごめんね。俺、そんなに思ってるほど大人じゃないから。でも楽しいよ。ほんとデートみたいだよね。たまにはいいね、こういうの」
そう言って純平君の顔を覗き込んだ。
パッと目が合い、何か変な間があく。
「……ん?」
何かを言いたげな表情の純平君が俺を見つめる。
「どうしたの?」
スッと急に顔をそらし、小さな声で呟いた。
「……あの時、何で悠さん、泣いて……たんですか?」
小さな純平君の声は、俺の耳までハッキリと届かない。
「ん? なに? よく聞こえなかった……」
「あ……いや、なんでもないです。そろそろ、行きましょうか」
そう言って笑い純平君が立ち上がるので、俺もあまり気にすることなくそのまま車に乗り込んだ。
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