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話
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冷蔵庫の余り物でスープとパスタを作る。人のために食事を作るのも久しぶりだった。どこにいたんだか、結構すぐに玄関の呼び鈴が響いた。
……早いな
ドアを開けると、ワイン片手にご機嫌な表情の陸也が立っていた。
「近くにでもいたの? 随分早かったね」
「ん、ちょっと近くにいたんだ。悠の好きなワイン買ってきたぞ……あ、いい匂い 」
陸也がここに来るのも久しぶりだ。
そうだよな……志音と付き合うようになってからは来てないもんな。
部屋に入った陸也はワインをテーブルに置くと、キッチンを覗き込み嬉しそうに笑った。
「俺これ好きなんだよね。シンプルでいい」
「急だったから余りもんだぞ……」
そういえば、陸也はこれが好きだった。
キャベツとベーコンで作ったペペロンチーノ。喋りながら、ちょうど茹で上がったパスタを絡める。ひと振りふた振り、フライパンを煽ってからサッと皿に盛り付け、リビングのテーブルへと運んだ。
「あれ? 悠は食べねえの?」
一人分の食事を見て陸也が不思議そうな顔をする。
そりゃ今日会えるとわかってれば俺だって食事なんて済ませてないよ。
「急だったから……俺は済ませた。だから腹減ってないんだよ。いいから気にせず食べろ」
「そう? じゃあいただきます」
パチンと手を合わせ、食べ始める陸也。
「やっぱり美味いな。志音もな、かなり料理の腕上げたんだよ。俺は幸せもんだ」
食べながら陸也は嬉しそうにそう話した。
「……志音とは最近どう?」
陸也が持ってきたワインを飲みながら、話をする。
「ん……大丈夫だよ。あんな事あってちょっと不安定なとこもあるけど。俺もついてるしもう乗り越えてっから大丈夫」
顔を上げずに陸也が答える。
志音はモデルの傍ら少しずつメディアにも出るようになったせいで色々と不便な所があった。それで少し前にちょっとした事件も起きたから余計だった。でも陸也がこうやって寄り添ってるんだ。
……大丈夫。
「志音にもまた店来るように言っておいてな」
「ん、了解……はぁ美味かった〜、ご馳走様」
「はい、お粗末様でした」
俺は食べ終えた皿を洗おうと立ち上がると、陸也に引き止められた。
「……悠、今日はどうした? 何か話あるんだろ?」
いつになく真剣な眼差し。
そうだよ……話があるから俺は陸也に会いたいって言ったんだ。
でも改まって聞かれると、嫌に心臓がドキドキしてしまう。
「あ……うん、とりあえずこれ洗っちゃうからさ……ソファでテレビでも見て待っててよ」
俺はそう言うのが精一杯だった。
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