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悲しい顔で笑う陽さんの言葉に俺は何も言う事がなかった
これが、陽さんとロアが隠してきた秘密……
それはあまりにも事が大きかった
満月の夜に起こってしまったロアの殺人
そしてそれを殺人よりロアを想ってしまった陽さんの事件についての隠蔽
その秘密はあまりにも残酷で、美しい
「これを聞いて俺たちの事、嫌いになった?」
彼の瞳は、俺の僅かな反応も見逃さないとジッと見つめていた
普通こんな事を聞いたらその事実に恐怖するか、もしくは聞いた事実を避けてなかった事にするだろう……
だけど、俺もおかしいのかもしれない
「……いえ。嫌いになったりしません
むしろ、俺たちにこの秘密を話してもらって嬉しく思いました」
陽さんはその言葉に目を見開いた
そりゃそうだろう。恐ろしい秘密を知って嬉しいなんてどうかしてる
でも、本当の事なんだ。
俺はこの事実を聞いても、彼らの事を嫌いになんかなったりしない。
だって、これは人形に与えられた1つの呪いによって起こってしまった事件なのだから
「これを話したのも俺たちだけの秘密。
さあ、これで俺たちは罪を共有しました。
お互い犯罪者同士です。
だから今日あったことも気にせずに、これからも俺たちと仲良くしてください」
俺は陽さんに手を差し出してニコリと笑った
その手を見て彼は顔を歪める。
すると急に両目を手で隠して俯いてしまった
「……ったく。なんなんだよ、お前は…
普通、こんなこと聞いたら嫌いになるとこだろ…………。」
その声は小さく掠れ、微かに震えている
目を隠した所からポロポロと何かがこぼれ落ちた
「何言ってるんですか。陽さんたちを嫌いになんかなったりしませんよ
ほら、早く手を握ってください。
腕が痛くなってきました」
彼の目の前でブンブンと手を振って握手することを強要する
「…はっ……わかったよ……。
握ればいいんだろ握れば……
本当、悠は馬鹿だな……」
隠す手の中からチラリと覗く彼の瞳
その目はフッと弧を描き、潤む瞳で甘く俺を見つめる
「…これからもよろしくな。悠」
そして俺の差し出した手を彼はギュッと握りしめた
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