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雨過天晴
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まさかこうも上手くいくとは。自分でもびっくりしてる。
七山に犯されそうになって朦朧とした意識の中で必死に考えた。はたしてこのまま受け入れてもいいのか?こいつらの思うままになっていいのか?
(ありえねえ)
咄嗟に思いついた案は毒に毒をもって制するような、羞恥の上塗りのような形だったが仕方ねぇ。驚かせて隙が作れるなら、俺は男相手にキスを仕掛ける。既に熱されてそれ以上の辱めを受けた俺は、感覚が麻痺してるんだと思う。…上手くいったじゃねえか。
宮古の背後をとり、脅し続ける。幾ら何でも耳を食いちぎられる所は見たくねえだろう。できることなら俺も千切りたくねえ。
けど、緊張と優越と羞恥と恐怖と、宮古と先生が言った事が脳内で絡まってて異常に心臓が煩くて、動揺してるから自分でも何を仕出かすか分からない。宮古は黙ったまま意外にも抵抗はしない。はたしてどんな顔をしているのやら。
「ちょっと、それで優位にたったつもり?」
エキゾチック水色髪の男、秋ノ宮が戸惑いと怒りに声を震わせながら静かに椅子から立ち上がってこっちへ向かってくる。
警戒して宮古の首を絞める力を緩めたり強めたりしてホールドしたまま精一杯返事にドスをきかせ、秋ノ宮をその場に立ち止まらせた。
「その映像が大事か、総長が大事か、選ぶんだな」
「お前、宮古を傷つけたらどうなるか分かってるの」
「ハッ、こんまま犯されてクズ共の言いなりになるよかァ更正施設に入る方がましだっつうの」
吐き捨てるように言い返せば、それを遮るように宮古が喉を揺らした。
「言う通りにしろ」
自分の身を案じているのか…飄々と口にする意図が掴めねぇ。秋ノ宮が押し黙った所で、何と事は首尾良く運ぶ。カメラを持った不良が手先を痙攣させながら恐る恐る俺の前の床へカメラを置いた。
しめた。
自分ではガムテープのせいでカメラが取れないから宮古の耳に命令した。
「取れ、それ」
宮古は半ば振り返るような形でビデオカメラを手に持った。それを確認して今度は促して立たせる。よろりと立ち上がったことに周りは一歩どよめき後ずさった。七山の舌打ちが聞こえた。
腕の中で相手の身体が回転し、向かい合わせに見つめ合う形になる。油断すれば逃げられちまう。力一杯抱きついてお互いの吐息がかかるくらいまで距離を縮めた。このまま逃走したいのは山々だが、恥ずかしいことに俺の下着とズボンは太ももの中途半端な位置にひっかけたままだ。
「はかせろ、これ」
目配せをして催促したら拒まれるかと思いきや、一拍間をおいて宮古は口元に冷笑を浮かべながら俺のスラックスを下着ごと慎重に元の位置まで引き上げた。いかにもわざとらしく身体を密着させて、カメラを持った片手で器用にかっちりとベルトまで締め直してくれる。
俺はこの松風岬で唯一、宮古に下着をはかせてもらった男になった…ここでの通り名がまた増えたな。
そんな事より、総長のお手を煩わせたことで殺気の高まったこの場から抜け出さねぇと。
ガムテープはやっぱり一人じゃ取れねぇ。かといって宮古から腕を離した瞬間に、全員が飛びかかってくるはずだ。また振り出しにもどっちまう。カメラは宮古が持ってる。
なら仕方ねぇ…一緒に連れて逃げるしかないか…。
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