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金鳳花〈キンポウゲ〉1
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この世が創られてから幾度の月日と
年月を過ぎた白泥の大陸の今は
禍物と言われる鬼や妖怪の類いと
生物である人間をはじめ
動植物が混在していた
此れは代々の珠御門(たまみかど)が治める
現世とはまた別の京の都の話
*
*
*
「幽霊が出るんですって…」
「えぇ?!適当な事言うんじゃねーよ」
京の外れにある小さな村で
そんな噂話が流れはじめていた
「嘘じゃないって!」
「わたしゃ見ちまったんだよ」
「髪も肌も着物も真っ白でさ」
「闇夜で遠目だったけど、見えたんだよ」
「それがアノ廃寺院でね」
村の女性達は身ぶり手振りをあわせて訴える
「でも、あすこは鬼を祀ってんだろ?」
「幽霊だって鬼にゃぁ敵わねえさ」
「寂れたとは言えあすこの神さんのお陰で」
「オレたちゃ鬼に怯えずに住んでんだ」
「滅多なことぁ言うもんじゃないぜ」
男たちは女たちの話をきな臭気に一掃する
それでも互いに目を合わせると
山向こうの大きな紅い鳥居に目を向けた
その後ろには
昼間だというのに夜の闇の様な
禍々しげに佇む大きな社が微かに見える
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