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金鳳花 4
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社の闇深い廊下の奥から
ギシッ、ミシッと床板の鳴る音が響く
それと合わせて絹擦れの音が微かに聞こえる
ジャラリ
時折鋼の合わさる音が
社の閉ざされてきた空気に重く鳴いた
暗い廊下は社の広間に向かうにつれ
ぼんやりと視界が明るい
それと別に
何やら甘い匂いが辺りに漂っている
社の中を闊歩する何者かも
そちらの方へ歩みを進めておりました
トットッ
広間まできた足音が止まり
月明かりが社の中を貫く様に射し込んだ
スッと風が吹き抜け
甘い香りは一層に増す
暗い廊下から月明かりに照らされ
白い男が1人
まるで幽霊のように闇を背にぼんやりと佇む
艶々とした白い髪
左目から頬までを覆う様にだけ長く
月明かりを映した右目は紫の色
白い着物に紅い襦袢
肌も白く右手には長い数珠が握られている
左袖からは襦袢とは別な布か
同じく紅い絹が垂れ下がり
その合間から鋼の鎖が
幾筋か垂れ下がって見える
その為左手を見ることはできない
ガシャリ カチャッ カシャン
と小さく鋼の音がそこから聞こえ
鎖と紅い絹がうねるように動いた
白い男は差し込む月明かりを鬱陶し気に
その光のもとを辿り目を向ける
広間の天井に大きな穴が開いており
煌めく月星が暗闇を照らしていた
ゴボッ
何か液体が詰まった様な
そんな音が近くで鳴った
甘い香りが寄り熟したかの様に
練っとりと白い男に纏いつく
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