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金鳳花 7
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闇が払拭された社に戻ると
朽ち行く鶯の鬼の姿が鮮明に見えた
鶯の鬼の傷付いた身体は
沸々と傷口が泡立ち
それは果実の腐食に似た匂いを放つ
まさにその実が腐りはじめている
消え行く息づかいに混じり
唸るような音が鬼の咽から鳴った
「まだ………間に合うか」
白い男は鶯の鬼を凝視すると
短い自答をし
手にしていた水瓶の中身を半分
鬼の体に浴びせかけた
赤黒い水が鬼に降り注ぐ
シュー シューと
鬼の傷口が煙をあげた
腐り、溶けはじめていた身体が
焼けたように凝固されてゆく
「ぐぐっ」
ゴフォッ
鬼の胸が上下して
不気味な声と共に身体の中から
込み上げてきた血の塊を吐いた
それを見下ろしていた白い男は
水瓶の中身に目を移し
赤黒いその水を煽る様に自らの口に含む
その白い唇に血の紅がひかれた様に
それは潤いを魅せる
鶯の鬼の身体を跨ぎ、膝をつく
右手で鬼の顎を上向きに支え
口腔が開くようにする
薄くあいた鬼の口許からは鋭い牙が覗き
切れ切れの息が甘い香りを放つ
白い男は少し目を伏せ
うっすらとその唇を重ねた
口に含んだ鬼泉の水を鬼の中に流し込む
が鬼の口からは水が溢れて零れてしまう
脱力している為
上を向いた事で自制の効かぬ舌が
流れを妨げていた
白い男は水瓶の中身を口に含むと
再び唇を重ね
今度は自らの舌で
鬼の舌を動かしながら
鬼泉をその奥へ送り込んだ
図らずも絡み合う舌が互いの液を混ぜ合わせ
卑猥な音が耳の奥で聞こえる
尖った鬼の牙が男の舌に触れると
その表面を裂いて
男の血液が口内にも広がる
鬼の甘い香りと血の鉄臭さが鼻につく
男の血が鬼泉と混ざり
全てが鬼のその奥へ
流れていった
水瓶の中が空になるまで繰り返すと
白い男の息も荒くなり
「ふっ…………く」
「はぁ………………はぁ………」
唇を離し
荒い息をした白い男の口許は
まるで血を吸った吸血鬼の様に赤い
男の身体は少し熱を帯び
汗の滲む肌が月明かりに艶めく
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