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朧
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先輩×後輩
両思い
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「へっぷしょい」
「おー、ブレスユー」
「・・・何すか? フリスク?」
「ちげーし。英語だし」
「マジっすか。エイゴとか超頭イイ」
「三年だしな」
「ふぁー、さすが梶先輩っす」
昼が汗ばむほど暖かかったから油断した。
オレの装備は薄いロンT一枚。
夕方辺りから少しずつ冷えてきて、凍えるほどじゃないけど、肌寒い。
――場所を替えればいい。
分かってる。
何もこんな芝生の上に寝ころんでなくったって。
いつものゲーセンでも、バーガーショップでも。
明るいし暖かいし、騒がしくて楽しいし。
だけど、何となく。
ここにいたい。
暗い静かな公園に。
先輩と二人きりで。
だから、黙ってる。
いつもは口を塞がれるくらいやかましいこのオレが超静か。
だってバカだからさ。
思った事がそのまま口から出るんだもん。
ここは寒いって。
言ったら。
そしたら。
そしたら。
ダメだろ?
うん。
「春の夜ってさ、鼻の奥がツンとするから少し苦手なんだよな」
「花粉症すか?」
「んにゃ。空気のニオイ? 冬と違って、何か匂うじゃん」
スンスンと鼻を鳴らす梶先輩の横顔を見る。
月明かりに照らされる先輩の瞳が潤んでいるようにみえてドキリとした。
「何となく楽しいような、悲しいような、この辺がぎゅってなるんだよな」
照れたような笑いを浮かべた先輩が胸の辺りのシャツを握る。
なんでか俺の胸がぎゅっとした。
「卒業・・・寂しいからかな。もっと、お前と遊びたかったな」
「そ、つぎょう・・・しないで下さいよ」
「おまえ、んなむちゃ・・・」
ぷっと吹き出しながら俺を見た先輩の目が一瞬見開かれて、ふっと微笑んだ。
あ、その顔格好良い。
なんてぼんやり思っていたら、ふわりとマルボロのニオイが俺を包んで・・・。
「なに・・・」
温かい。
「ぅわ、おまえ、冷たい・・・薄着過ぎだろ」
「・・・え、と? すんません」
仰向けの俺の上に覆い被さる先輩の体が、少し重くて、じんわり温かくて、心地よくて、
ドキドキして、
「先輩、俺」
「目から汗流してんだろ」
目尻に優しく柔らかいモノが触れた。
「――でも月がぼやけて見えるっす」
「春はぼやけんだよ。朧月っての」
「何すか、それ、超頭イイ」
「3年だしな。・・・頼むぜ。泣かれたら、ホント卒業できねぇじゃん」
じゃあ、しないで下さいよ。
口を開けば嗚咽になりそうで、出口を失ってしまったその言葉の代わりに、俺は先輩にぎゅっと抱きついた。
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お馬鹿な後輩と、面倒見の良い先輩。
このお題は悩みました。
源氏物語しか思いつかないです。
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