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愛しい存在
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(ライくん目線)
「母さん、手離して」
「嫌よ、話したらあの狼の所に行くんでしょ」
「行かないよ、行かないから家に帰って話そう?」
そう言って母さんを宥める
母さんが狼を憎んでいる理由は父さんが狼に喰われたからだ
もちろん、俺も父さんを喰った狼を憎んでいた
でも、ルンくんを初めて見た瞬間あんなに憎かった狼なのに憎いとかいう感情はどっかいって、きれいだと思ったし、愛しさしか湧いてこなかった
ルンくんは狼だけど全く狼らしくなくて、人間の俺を見ても喰ったり襲ったりしないし、むしろ可愛い所しかない
それにすごく寂しがり屋だと思った
俺が居なくなったらルンくんはどう思うだろう
きっと寂しくて死ぬことを選んでしまうかもしれない
俺もルンくんが居ない生活なんて、こんな幸せを知ってしまったらもう考えられない
ルンくんが死ぬなら俺も死ぬ
そんな馬鹿な事を考えてしまう程ルンくんの事が愛しくてたまらない
だから、母さんを絶対に説得してみせる
家に帰り母さんと向かい合わせになって座る
どう話を切り出していいか迷っていると先に口を開いたのは母さんだった
「私は絶対認めないわよ」
「母さん..話をちゃんと聞い..」
「貴方忘れたの!?狼に父さんが喰われたのよ..?なのになんで狼なんかと付き合ってるの?私は絶対狼と付き合うなんて許さない!狼は一匹残らず殺してやる!!」
「..っ!?」
声を荒らげる母さんを見て俺は圧倒されてしまった
いつもは優しくて温厚な母さんがこんなに感情を露わにするのを初めて見た気がする
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