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ぎゅっと。拓海side
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ごめんねなんて言わなくていいのに。
俯いたまま、小さく「ごめん」と呟いた鈴木くん。
何か分からないけど、そう、君が怪我しそうで、怖くて。
身体が勝手に動いてた。
本当に勝手に動いてたんだ。
今みたいに。
するするのほっぺた。
涙の跡があるのは、俺の見間違いじゃないよね。
赤く腫れた目が、潤んだまま俺を捉えた。
「…何泣いてんのさ」
「…泣いてなんかないし」
つんと尖らした唇はかさかさ。
責任感じてるんだよね、鈴木くんのことだもん。
「…ね、鈴木くんもっとこっち来てよ」
座っていた椅子から立ち上がり、そっとベッドの端に膝を掛けてくれた。
もっと、と言うとちょっと寄ってくれて、そのまま俺が手を伸ばして鈴木くんの身体を捕まえる。
すこしびっくりしたように身体が震えて、愛おしくなる。
「鈴木くん、俺ね、勝手に身体が動いたんだ。だからね、鈴木くんのせいじゃないんだよ。俺が鈴木くんを守りたくて。ね。本当だから。だから責任感じないでよ。」
「…うん」
そろりと、俺の背にも手が触れて、俺が着ている病院の服をぎゅっと掴んで。
小さく消え入りそうな声で頷いてくれた。
俺はついでにぎゅっとハグをかまして、きっと涙目の鈴木くんもちょっとだけ返してくれた。
離れる温もりを惜しみながら、鈴木くんの顔を見ると思っていた通り涙目で。
でも、俺が目を覚ましてから初めて笑ってくれた。
「ちょ、も一回!」
「何言ってんの三國くん調子乗らないでよ」
いつも通りの口調で、いつも通りじゃない涙目と笑顔で鈴木くんが言った。
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