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小さな身体。拓海side
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簡単になんて手に入らなかった。
もどかしい時間を越えて、俺たちは笑いあえた。
それを、俺の無駄な愛想で壊してしまうのか?
嫌だ。
顔を上げて、前を向いて。
傘もささない黒い影が見えた。
それは。
「俊哉!!」
小さな影が立ち止まり、顔を上げる。
走って近づいたその影は、紛れもない、今俺の全ての、人。
「拓海…ごめっ…」
寒さで白くなった顔が、一瞬でくしゃりと歪んだ。
青ざめた唇が、俺の名前を呼んで。
「ごめんっ…!俺、変な意地張って…!」
冷たくなった身体を、その小さな身体を強く抱きしめた。
濡れた髪を撫でる。
雨はいつの間にか小雨になっていて、遠くの空には青空が見えていた。
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