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ちゅーが好き
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「…藤川ってさ」
言うのかよ。
阻止しようとしたそばからこれだよ。
言わなくていいって言ったのに…。
「…そんなに俺とちゅーするの好きなの?」
「……へ?」
真山とのちゅー?
いや、まぁ好きだけど……え?
「さっき、離れようと思えば離れられたでしょう?」
「う、うん…」
「それでも離れようとしなかったのはなんで?」
いたずらっぽく笑う真山。
また俺をからかって遊んでるのか。
「それだけ俺とちゅーしたかったから?」
「そ、そんな…っ…」
そんな恥ずかしいことあるわけないだろ、と思ったけど、冷静になって考えてみたら。
「…そうなのかな…」
そうかもしれない。
離れるって選択肢が思い浮かばなかったのは、ちゅーしたいっていう気持ちが心のどこかにあったから…とか。
(…いや、落ち着けよ俺。めっちゃ恥ずかしい…)
「だから、さっきもあんな、おねだりするみたいな表情してたの?」
「おねだりって言うな、ばか…」
あぁもう、すげー顔熱い。
赤くなってるのを見られたくなくて、真山の首筋に顔をうずめた。
真山は、小さく笑いながら抱きしめてくれる。
「…ちゅーするの好き?」
「……好き……」
「もう一回言って」
「…恥ずかしいからもう言わない」
「俺も藤川とちゅーするの好きだよ」
「っ…ばか……」
マジで、真山も俺に負けず劣らずバカだと思う。
なんでこんな恥ずかしいセリフぽんぽん言ってくんの。
「バカって言ったほうが」
「うっせ」
「…まだ最後まで言ってないのに…」
「うっせ」
くすくす笑いながら、ほっぺにちゅーしてくる真山。
やっぱり余裕な態度に、やっぱりなんか負けたような気がするけど……
「…っ…!?」
このままじゃ悔しいから、真山の首筋に吸い付いた。
さっきとは反対側。
真山が、驚いて俺を見る。
「…仕返し」
「…右と左に一つずつ?」
「うん。真山の真似」
「じゃあ、藤川とお揃い?」
「そうだよ」
「ふふ、ありがとう」
嬉しそうに笑う真山。
照れたような表情は、本当に幸せそうで、仕返しのつもりだったのに、なんか……
(…ばか。ずるい……)
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