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マフラーと心配症
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「……俺も。好き」
真山にだけ聞こえるように、耳元で小さく囁いた。
俺を抱きしめる、腕の力が強くなる。
「ふふ、また明日ね」
嬉しそうに笑う真山。
安心して、俺も思わず笑ってしまう。
「あ、藤川。マフラー」
「え?」
「寒そうだから巻き直してあげる」
「あ、あぁ…ありがとう…」
俺が緩く巻いていたマフラーを、真山が解いた。
相変わらず唐突だけど、悪気はないんだろう。
どうでもいいけど、めっちゃ寒いから巻き直すなら早くしてほしい。
「はい」
「ありが…」
(っ…!?)
最後までお礼を言えなかったのは、真山のせい。
巻きかけのマフラーに隠れて、真山は俺にキスをした。
「…んん……」
完全に不意打ちだった。
日曜の昼間から、人前でこんなことされるなんて…
「っぷは…」
ようやく唇が離れる。
相変わらず、短いちゅーでいっぱいいっぱいになってる自分に、ちょっと不安を覚える。
(べろちゅーじゃないのに、こんなになっちゃうなんて、ヘンなのかな…)
唇吸われて、舐められるだけで、すげー気持ちいいんだけど…普通の人はそうじゃないのかな。
ってとこまで考えたところで、恥ずかしくなって思考を止めた。
苦しくて涙目になっている俺を見て、真山はくすくす笑っている。
「大丈夫?」
「…大丈夫じゃない…」
「鼻で息すればいいのに」
「お前、そんな簡単に言うけどな…」
キスしてる最中は切羽詰まってて、そんな余裕ないんだよ。
さっきみたいに不意打ちのときは特に。
「ふふ、ごめん。でも、これからいっぱいするんだから慣れて」
「っ…ばか…」
だから、なんですぐそうやって恥ずかしいこと言うのかな…すげー顔熱いんだけど。
恥ずかしくてうつむいていると、改めてマフラーを巻き直して、ぽんぽんと頭を撫でてくれる。
「気をつけて帰るんだよ」
「うん、ありがとう…真山もな」
「俺は大丈夫だよ。家近いし」
「そんなこと言ったら、俺だって電車の中は暖かいから大丈夫だよ」
「…でも心配」
「…真山の心配症って、けっこう重症だよね」
「藤川にだけだよ」
「…………」
あぁ、まただ。
めっちゃ恥ずかしい。
目を逸らす俺を見て、真山は楽しそうに笑っていた。
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