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報告
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「じゃあね、藤川ー」
「あ、待って成宮」
自分の教室に入っていこうとする成宮を呼び止める。
なんか緊張してきた。
「どうしたの」
「ちょっと、うちの教室きて」
「え、なになに?」
「いいから」
お前にはちゃんと言うって、約束したから。
成宮と一緒に教室に入る。
「あー、藤川だー」
「おはよー!」
「なんで成宮?」
みんなが口々に声をかけてくる。
いつも通りだけど、俺と真山だけは。
いつも通りじゃない。
「みんなに言わなきゃいけないことあってさ」
「なんだよ、改まって」
「えっと……」
どうしよう、具体的なこと何にも考えてなかった。
真山と付き合うことになったよって、みんなに報告しようと思ったんだけど……
「…おはよう、藤川」
「っ!?」
突然、するりと背中から腕が回されて。
耳元で、聞き慣れた声がする。
「…ま、真山…」
「おはようは?」
「…おはよう…」
あぁもう、めっちゃ恥ずかしい。
なんで人前でこんな……
「…言うんでしょ?」
俺にしか聞こえないくらい、小さな声で真山が話す。
昨日の夜、電話で話し合って決めたこと。
うん、と小さく返事をして、息を吸い込む。
「あ、あのさ、みんな」
「お?」
「なになに」
一斉にクラス中の注目が集まる。
イチャイチャすんなら他でやれよ、とか何とか林に言われるけど負けない。
ていうか、抱きしめてきたのは真山だもん。
俺は悪くないもん。
「…その…俺と真山、付き合うことになったんだけど…」
この間の、宮部と森下のお祝いのときとか、例のプリン事件とか。
ああいう盛り上がりを想像して、目を伏せた。
またクラス中に歓声が沸き上がって、パニックになるんだろうな。
(そうなったらめんどくさいし、何より恥ずかしいんだけどな…)
どうやって収拾つけよう、ホームルームに影響しちゃうかな。
やだなぁ、とか考えたけど、そんな俺の予想とは裏腹に、歓声は一向に聞こえてこない。
クラス中が静まり返っている。
「……え?」
「う、うん…え?」
「いや、知ってたけど?」
(……え?)
知ってた?
何が?
え……?
「あれ、藤川スベったんじゃね?」
「!?」
え、待って俺スベったの?
いや、そもそも最初からウケ狙いだったわけじゃないけど……
予想と全然ちがう空気に、なんか不安になってくる。
俺、スベったの……?
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