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二人きり
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「…俺らも帰ろっか、真山」
「そうだね」
気付いたら、教室には二人きり。
今日は本当に疲れたから、早めに帰ろうと提案する。
「…あの、真山?」
「ん?」
手を離そうとしない真山に、これはまずい、と直感した。
このままじゃ、またこの間みたいに、ちゅーとかいろいろされるんじゃないか。
ていうか抱きしめられてる時点で、もうすでに真山のペースに飲まれてるんだけど…。
「…帰らないの?」
「帰りたいの?」
「俺、今日けっこう疲れてるんだけど…」
「そう。お疲れさま」
そう言って、ぎゅっと抱きしめられる。
俺の話、ちゃんと聞いてたかな。
(まぁ、確かにちょっと癒されるけど…)
離してほしいとも言えないし、正直まんざらでもないので、大人しく首筋に顔をうずめる。
真山の匂いがする。
「くすぐったいよ」
笑いながら、小さく首をすくめる真山。
ぎゅっと抱きつくと、優しく頭を撫でてくれる。
「…真山……」
「ん?」
「……呼んでみただけ」
「何それ」
なんか真山に笑われた。
なんとなく名前呼びたくなって呼んだだけなのに、ん?なんて聞き返してくる真山が悪いんだよ。
「あ、そうだ藤川」
「ん?」
「呼んでみただけ」
「…………」
バカにしてんのか、こいつ。
腹立つわー…
「ふふ、冗談。ごめんね」
「…なんだよ。しょうもないことだったら怒るぞ」
「ごめんって」
楽しそうに笑いながら、ふわふわと髪を撫でられて、何も言えなくなる。
ていうか、ほっぺつねるのやめろ。
「さっき言ったチョコ」
「あー、うん」
「食べる?」
「うん、もらおうかな…」
「ほっぺ柔らかいね」
「うるせぇ離せ」
「どうしようかなぁ」
「……いじわる」
小さく呟くと、反対側のほっぺに、ちゅっとキスが落ちてきて。
そっと手を離して、おでこにもちゅーされた。
「チョコ持ってくるから待っててね」
くすくす笑いながら、俺の頭を撫でる。
いつまでも子ども扱いだな、と思いつつも、ちゅーは気持ちいいから悪い気はしなかった。
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