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離してあげない
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「よし、帰るかー」
「おー」
だらだらと階段を降りて玄関に向かう。
こうやってみんなと帰るの、なんか久々だな…。
「楽しかったね」
隣を歩く真山が、笑って言った。
俺はお前のせいで散々な目に遭ったけどな。
「うん、そうだね…」
「あれ、楽しくなかったの?」
「楽しかったけどさ…真山、すぐ意地悪するし」
「ふふ、ごめんね?」
「…………」
ぜってー反省してないもん、こいつ。
いつか仕返ししてやる、とか考えていたら、そっと手を握られた。
驚いて、思わず真山を見る。
「な、なに…?」
「なにが?」
「え、いや…手……」
「なんでそんなに驚くの」
「だ、だって…!」
目の前には、宮部と森下。
こいつらが手を繋いでるのはいつものことだけど、俺は街中で堂々と男同士で手を繋いで歩けるほど図太くない。
それに……
(二人が振り返ったら、手繋いでるのバレちゃうじゃん…!)
それだけは恥ずかしいからやだ。
茶化されるに決まってる。
そして、それ以上に問題なのが、二人の前を歩いてる林(と成宮)。
もし見つかったら…とか想像するだけで辛い。
「嫌なの?」
「嫌じゃないけど、恥ずかしいから…」
「そう。まぁ、どっちにしろ離してあげないけど」
「…!?」
嘘だろ、おい。
じゃあなんで聞いたの。
今の、離してくれる感じだったじゃん。
驚いてる俺を見て、真山はくすくす笑っていた。
(…もうやだ…)
意地悪してほしくないって、さっき言ったばっかりなのに。
誰にも見つかりませんように、と祈っていると、ぱっと林が振り返った。
「!?」
「じゃあな」
「え、あぁ…」
いつの間にか、学校の前の道に出ていて。
林の家は駅とは反対方向だから、ここで別れることになる。
繋いでる手を、咄嗟に隠そうとしたけど、そこまで心配しなくてもよかったみたいだ。
「おー」
「また明日ねー♡」
「ばいばーい」
みんなで手を振って、林と別れる。
手を繋いでるのはバレてなかったみたいで、ちょっとほっとした。
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