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疑心暗鬼
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「えっと…?」
「ん?」
「ちょっと、説明を…」
「何の?」
「…………」
真山は、今までの切ない雰囲気が嘘のように、すっかり元通りになっている。
状況がわからず、ぽかんとする俺。
「狐につままれたような」って、たぶんこういうことを言うんだろう。
「真山、さっきまでとテンションが違うような気がするんだけど…」
「だって、これからは人目を気にせずに藤川に触ってもいいんでしょ?」
きれいに笑って見せる真山。
可愛いな、くそ。
確かに、だめじゃないとは言ったけど…
(もしかして今までのは、俺からその発言を勝ち取るための演技だったのか…!?)
そんなバカな、と思ったけど、真山ならやりかねない。
でも、それならいつから…まさか、ホームで二人の出会いに想いを馳せていた、あの辺りから…?
(いやいや、落ち着けよ俺。そんなわけないだろ)
だって、だとしたら相当な演技力だぞ?
いや、でもポーカーフェイスの真山ならもしかしたら……
「藤川どうしたの?また百面相?」
「うるせぇよ…」
何事もなかったような顔でココア飲んでんじゃねぇよ、くそ。
ていうか、もし今までのが演技だったとしたら。
あの告白も演技なのか?
(…嬉しかったのにな…)
真山が、俺をそういう目で見てくれてること。
俺と同じ気持ちなんだって思えて。
(…シたいって思ってるのは、俺だけだと思ってたのに)
そもそも、体の関係は、最悪なくてもいいと思ってた。
男の俺の裸なんて見ても楽しくないだろうし、ちゃんとできるかわからないし。
でも、そう思えたのは最初だけだった。
(真山、すげーベタベタ触ってくんだもん…)
真山に触ってもらうと気持ちよくて、一緒に過ごすうちに、だんだんと欲張りになってしまって。
もっと触ってほしい、と思うようになっていた。
でも、俺みたいな可愛げのない男なんて、相手にしてもらえないかもしれないし…とか思ってた矢先にあの告白。
嬉しくないわけなかった。
(…俺だって、もうちょっと勇気があったら今すぐ真山と…)
そう思ってたのに。
真山の態度の、あまりの変わりように、不安が広がっていく。
あれは、本当に真山の本心なの?
「ねぇねぇ、百面相」
「なんだよ…」
もうツッコむのもめんどくさいよ。
構ってほしそうに俺を見る真山。
本当のことを聞こうか。
ちょっと怖いけど。
「…なぁ、真山」
「なに?」
「さっきと態度が全然ちがうのが気になるんだけどさ」
「うん」
「…さっきの…あれって、ほんと?」
不思議そうに俺を見る真山。
答えを聞くのが怖かった。
ぎゅっと手を握られる。
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