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「…真山」
頭を撫でるその手を掴んで、やんわりと退かした。
そっと、真山の服の裾を掴む。
「…俺、ほんとに大丈夫だから…」
本当は、あんまり大丈夫じゃないけど。
こんなこと、話してるだけでも恥ずかしい。
でも、真山と同じ気持ちなのは本当だから…それを真山にもわかってほしかった。
「…わがまま言わないで、藤川」
真山が、困ったように俺を見る。
涙が零れそうになる。
「…なんで信じてくれないの?俺、本気なのに…」
「…信じてないわけじゃないよ。本気なのも知ってる」
「じゃあなんで…!」
「藤川」
まっすぐ見つめられて、それ以上なにも言えなくなった。
なんでだめなの。
耐えきれなくなって視線を落とす。
「…もし俺が、このまま連れて帰ったら…今日はもう、お家に帰してあげられないよ?」
抱きしめられて、囁かれた言葉は、生々しくて重かった。
今ならまだ引き返せる。
だけど、それでも。
「………いいよ」
真山が、小さく驚いたのがわかる。
ゆっくりと背中に腕を回す。
「…帰してくれなくていいよ」
それで、真山を満足させてあげられるなら。
もう、真山が我慢しなくて済むなら。
俺は、
「……後悔しない?」
甘ったるい声が耳をくすぐる。
きゅぅっと胸が苦しくなった。
ココアの匂いがする。
「…後悔なんてしない」
そっと、真山の首に腕を回す。
ぴったりと密着する体。
勢いに任せて、そのまま耳に唇を寄せた。
「……真山に、全部あげるよ」
言った拍子に、真山の耳に唇が触れてしまって。
ぶわっと顔が熱くなる。
恥ずかしくてしにそう。
慣れないことするからだ、と、心の中で自分を責める。
「…悪い子だね」
小さくため息をついて、困ったように笑う真山。
すぐに自分の言動を後悔した。
勢いとはいえ、なんて恥ずかしいことを言ってしまったんだろう。
(…悪い子って言われた……)
今まで、「いいこだね」としか言われたことなかったのに。
ちょっとショックを受けていると、ちゅっとほっぺにキスされた。
驚いて真山を見る。
「…一度もらったら返さないよ?」
いたずらっぽく笑う表情に、何も言えなくなってしまって。
返事の代わりに、ぎゅっと真山に抱きついた。
もう迷いはないから、きっと大丈夫。
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