アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
電車の中
-
二人で入口近くの壁にもたれて、正面に立つ真山を見上げる。
(…マジでメガネ替わってる)
真山ファンの女子やべぇ、とぼんやり現実逃避していると、心配そうに俺の顔を覗き込んできた。
「辛そうだな…症状は?」
「んー…熱と、だるいのと、鼻と…」
「うん」
呼吸しづらいのと、頭が回らないので、いつもより喋るのが遅くなってたけど、真山は落ち着いて聞いてくれていた。
「…あと、頭と喉が痛い…てか体中の関節が痛い…」
「…脈を測っていいか?」
さすがだ、医者に診てもらってるみたいだ。
こくんと頷くと、真山の指先が首筋に触れた。
「っ…!」
その冷たさに驚いて、びくっと体が震える。
てっきり手首で測られると思ってたのに、不意打ちすぎる。
「…悪い。ここのほうが測りやすいんだ」
「…へぇー…」
思いっきり驚いてしまったので、恥ずかしいっていうか何か気まずい。
わざとらしいのはわかってるけど、顔を見てられなくて視線を逸らす。
だって、いきなり首筋触られるなんて普通思わないから…。
「…家に来い。看病してやるから」
「へ…?」
家?なに言ってんの…?
「少しでいいから…ちゃんと休んで行ってくれ。このまま一人で帰すなんて心配なんだ」
「いや、でも…悪いし…」
「そんなこと気にしてる場合じゃないだろう。またさっきみたいに倒れたりしたらどうするつもりだ?」
「………」
正論すぎて何も反論できない。
確かに、このまま一人で帰っても、どこでまた倒れるかわからない。
ていうか、さっきのことを思い返すと、無事に帰れる気がしない。
「ここから、そんなに遠くないから。来て」
「…じゃあ…お願いします…」
いたたまれない気持ちを無理やり押さえ込んで、真山の顔を見上げると、安心したように微笑んでいた。
…イメージと違う。
こんなにいいヤツだったのか…。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
8 / 247