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知らない駅
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「降りるぞ」
「ん」
あの後、寒くないかとか気分は悪くないかとか、いろいろと心配してくれた真山。
降りるときも、すごく自然な仕草で、優しく手首を掴まれた。
「待って、真山!?」
いくらしぬほど体調悪い今の俺でも、これはスルーできない。
電車を降りて、そのまま普通に手を引かれるけど、驚いて思わず真山を見た。
「さっきみたいに倒れたら危ないから」
「いや、でも…」
手首とはいえ、男同士で…それに、遠目から見たら手を繋いでるようにしか見えない。
「そんなに人多くないから平気」
いや、俺は別にいいけど…
初めて降りる駅だから、たぶん知り合いもいないし。
「…お前はいいのかよ」
家の近くの駅じゃ、友達とか近所の人に見られかねない。
医者志望なんて、きっと将来有望な息子なんだろう。
なのに、ヘンな噂でも立ったりしたら…。
「気にしなくていいよ。藤川の体が優先」
「……ごめん……」
なんか申し訳なさすぎてすげーヘコむ。
特別仲いいわけでもないのに、なんでここまでしてくれんのかな…。
「なんで謝るの」
真山が困ったように笑う。
駅を出たところで気付いた。
今までずっと、いつもより足取りの重い、俺の歩幅に合わせて歩いてくれてたこと。
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