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ひみつの攻防戦
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(何してんのこいつ…!?)
まったく意味がわからない。
ただ、くすぐったいからやんわりと腕を払いのけた。
「てかさ、あいつ、お前の紹介で入ったやつ!仕事覚えるのめっちゃ早いなあいつ!」
「え、あぁ…そうっすね」
いや、よくわかんないけど。適当。
そんなことより、真山は何なの?
なんでめげずにまた耳触ってくんの?
「…っ……」
ぴくっ、と体が震える。
冷たいんだよ真山の指。
「…でさ、もうメニュー覚えたの?って聞いたらさ、はい、記憶力には自信あるんで!ってさ、やばくね!?あの数を3日で!3日で!」
「あー、はい……っ…ん…」
俺の耳元に顔を寄せて、そのままじっと耳を見つめる真山。
息かかるからやめろマジで。
「ん?何か言った?」
「っ、何でもないです!」
「そう?てかさ、前言ったうざい客いたじゃん?あいつがさー、この間また来てさー」
店長もなんで話続けてんだよ。
風邪だっつってんだろ早く電話切れよ。
イライラしながら、再び真山の手をどかそうとすると、今度は抱きしめられてしまった。
「…っ!?」
「…んで、面倒くさいから適当に話流すじゃん?そしたら、ちゃんと聞いてんのかって言われんじゃん?うざいじゃん?」
(ちょっ…何してんだよ、真山…!)
目で訴えようとするけど、真山はまだ俺の耳元に顔を寄せていて、視線を合わせられない。
冷えた指先が、弄ぶように耳に触れる。
「……ふ、ぁ……」
咄嗟に唇を噛んで、ぎゅっと目を閉じる。
顔も体も熱い。
頭がぼーっとして、全身の力が抜けてく。
「…でさー……藤川?聞いてる?」
「っ…!!」
突然、指を絡めてくる真山。
なんかヘンだ。
もう店長の話なんて聞いてられる状態じゃない。
「すげー息上がってるけど大丈夫か?」
真山の視線は、俺の耳から指先に移っていた。
シーツを握りしめる俺の指を優しく解いて、一本一本、確かめるように触れる。
「…ん…ぅ……」
真山に触れられている手から、思いっきり顔を背ける。
それなのに、どうしてもそこに意識が集中してしまう。
指先が熱い。
「ていうかお前風邪ひいてんだよな、ごめん。そろそろ切るわ」
「…ん……すいませ……」
小さな声で、かろうじて謝る。
でも、様子が変だったのは多分バレてる。
次に会うときどんな顔して行ったらいいんだろう、とぼんやり考えていたら、通話の途切れる音がした。
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